第31話 ページ6
「逃がさへんで」
走った先には先回りしたであろう信介と倫太郎が居た。
「お嬢さんは返してもらいますよ」
「返すわけねえだろばーか！」
黒尾さんの私を抱きかかえる力が僅かに強くなった。
倫太郎が銃を構える。
倫太郎の能力は銃弾の火力を上げる。
彼の弾が当たったら確実に体に穴があく。
前に私の肩に穴をあけたのも多分倫太郎だろう。
『当たったら穴あきますよ』
「分かってる」
黒尾さんはそう言って弾を避けていた。きっと黒尾さんには弾が見えているのだろう。赤葦さんと月島さんは物陰に隠れて弾を避けながら対抗している。
信介はずっと余裕の表情をしていた。
「返してくれな、3人とも蜂の巣にすんで」
信介は笑いながらそう言った。
ダメ、そんなことは絶対させない。
私は恐る恐る手を伸ばし、身体中の全ての力を一点に集めた。力の衰えている今の私にはきっと何も出来ない。それならせめてこれだけでも。
ぶっ飛べ
そう念じながら集中する。
そしてピークに達した瞬間
『ぶっ飛べ…！』
私はそう呟いて衝撃波を発生させた。
それによって倫太郎と信介は数メートル飛ばされた。
「間に合ったようだな」
「ぶっ飛ばしたんすか〜？」
そう言ってやってきたのは牛島さんと二口さんだった。
「ここは2人に任せて先行きましょう」
「おう…！」
赤葦さんの言葉に頷き、黒尾さんと月島さんは走り出す。
私はさっきのでもう体力が底を尽きてしまい、もう何もすることが出来なかった。
『どうして、こんなに居るんですか…』
私は走ってる黒尾さんにそう問いかけた。
「どうしてって、皆お前が必要だからだろ」
黒尾さんは当たり前という表情でそう言った。
私には分からなかった。
私は決して何もしていないのに、なぜ大して知りもしない私を必要として助けるのか。
やっとの思いで屋敷の外へ出た。
外もだいぶ酷いことになっていた。
「あっ！黒尾さん！」
「Aも一緒だ！」
日向さんと灰羽さんがこちらへ走ってきた。
「外は平気か？」
「はい！あいつらのおかげっすね！」
そう言って灰羽さんが指さす先には、助けに来てくれた仲間たちが沢山居た。
「おー！！！A大丈夫か！！怪我ないか！！」
『大丈夫です…』
「お前らはこいつ連れて先帰れ」
そう言って黒尾さんは私を灰羽さんに託した。
「俺らはもうひと仕事、な」
「おう！！」
そう言って黒尾さんと木兎さんは屋敷の中へ戻って行った。
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泡姫(プロフ) - こけしさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2021年10月3日 10時) (
レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
こけし - とてもおしもろいです❗️大好きです！！ (2021年10月3日 6時) (レス) @page8 id: 5e5d783793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泡姫 | 作成日時：2021年9月26日 19時
