第30話 ページ5
この屋敷に連れてこられて3週間を過ぎ、もうすぐ1ヶ月が経とうとしている。
まともな食事もまともな睡眠も取っていない。
お陰で今は歩くのがやっとなくらいまで体力が落ちた。
だいぶやつれてきているだろうが、そんなことを考えている暇もない。
『次…』
作業が終わったら次のメールを確認し、すぐに作業を始める。
とにかく終わりがない。先が見えない。
そんな時だった。
普段は誰も近寄らないこの部屋の扉が久しぶりに開いた。
私は扉の方を向いたが、外から入る光は眩しく目を細めた。数人の人影がこちらに寄ってくる。
「待たせて悪かった」
私の前に片膝ついてそういったのは黒尾さんだった。
そこに居たのは黒尾さんと赤葦さんと月島さんだった。
『……遅いですよ』
「悪かったって」
私は涙を流した。
片方の目から溢れる涙を拭ったのは赤葦さんだった。
「帰ろう。あの場所へ」
私は強く頷いた。
『か、カメラ…』
「んなもんハッキングしてデータ移し替えたに決まってんだろ」
『誰がそんなこと…』
私はそこまで言って、そんなことが出来る人は1人しか出てこなかった。
「まあ多分考えてる通りだ」
「黒尾さん、人が集まってきてます」
月島さんがそう言うと、黒尾さんは私を抱えた。
「帰ったら赤葦の美味いメシたらふく食わせてやるからな」
そう言って全員走り出した。
「他人の家で暴れてんのはどこの誰や」
少し先に立っていたのは信介だった。
物陰から侑と治、倫太郎も出てきた。
このままじゃまたあの時みたいになる。
私はそう思って黒尾さんの服を握りしめた。
「及川さんの出番かな〜☆」
「俺も負けてらんないな」
後ろからそう言ったのは青城の及川さんと、烏野の澤村さんだった。
途端に治が重力操作をした。
「操作されたら、し返せばいいんだよ…！」
そう言って及川さんは能力で重力を操作し直し、元に戻した。
「そんなこと出来るんか…！？」
「及川さんにしか出来ないかもしんないね☆」
そう言うと及川さんは治に重力をかけた。
治は動けずしゃがみ込んだ。
「サム…！」
侑は慌てて能力を使おうとするも、突然動きを止めた。
いや、正確には止められた。
「あんま好き勝手やるんじゃないよ」
止めたのは澤村さんだった。
この人たちも能力使いなんだ。
「ここは頼むぞ」
そう言って黒尾さんは来た道を戻るように走り出した。
ーー
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泡姫(プロフ) - こけしさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2021年10月3日 10時) (
レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
こけし - とてもおしもろいです❗️大好きです！！ (2021年10月3日 6時) (レス) @page8 id: 5e5d783793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泡姫 | 作成日時：2021年9月26日 19時
