64話 ページ15
＊
｢……すごい。｣
すごい。
それしか出てこなかった。
デモンストレーションするからそこで見ていて、とAに言われた心操は言われた通りに壁に背を預けて対峙するAと相澤を見ていた。ここまで来れば何が始まるのか分かり、心操の予想通り2人は個性抜きで組手を始めた。生まれて初めて見る個性無しの対人戦。体育祭の第3ステージで準決勝や決勝を見たが、ここまで圧倒されなかった。
相澤は捕縛機を首に巻いているが使っていない。腕と足を主に駆使している。
相澤の繰り出す右足の蹴りをAは横に逸れることで避けるが、それを予測していた相澤は振り上げた右足が戻るとその勢いのまま右足で踏み込み左腕をAに振る。避けきれないと判断したAは両手をクロスさせて相澤の拳を受けると軽やかに後方へ下がった。1度体制を整えるつもりだ。
年下の、それもほぼ一回り下の生徒に自身の攻撃をいなされ相澤は内心大きく舌打ちをする。生徒の手前、表立ってすることは叶わない。
両者睨み合って相手の出方を窺う。
先に動いたのはAだった。ワンテンポ遅れて相澤も駆け出す。しかしAは助走でついたスピードを落とすことなく真っ直ぐと相澤に向かう。あの(・・・)Aが正面から来るとは思っていなかった相澤は、何か企んでいるのではと勘繰るが止まらないAにやや面食らいながら、ならばと迎え撃つ構えをしてAに走った。
心操は勝負が決まる、と両手を握る。気付けば背中は壁から離れ手には汗をかいていた。どちらが勝つのか分からない。最初はプロの相澤が、と思っていたがAの体術は並ではなかった。それどころか相澤と並んでいる。真剣な表情の2人に心操はゴクリと口内に溜まった唾を飲み込んだ。
｢…らァッ！｣
掛け声と共にAの右腕が大きく振りかぶられ相澤の眼前に迫る。相澤は左手でそれを掴もうとしながら、同じく右腕はAの顔の前に、
｢なんてな。｣
｢なっ！！？｣
来る！その瞬間Aはガラ空きな相澤の横腹にノーマークだった右足を叩き込んだ。完全に見えていなかった相澤はガードが間に合わずキツいそれをモロに受ける。しかしそこはやはりプロ。咄嗟に受身をとり相澤は低い姿勢のままAを見据える。そして相澤は首のサポートアイテムに手を掛けた。
それを見たAがニヤリと笑った。
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緑猫 - 紅月さん» ご指摘ありがとうございます！勘違いしてました…直しておきます！とても助かりました！！ (2020年2月1日 18時) (
レス) id: 609bae11e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - 92話で、ねじれちゃんのクラス間違ってます！！3年A組ですよ！あと、お話とても面白いです！！ (2020年1月31日 12時) (レス) id: 70aadd4360 (このIDを非表示/違反報告)
(o^^o)ピコ(o^^o)(プロフ) - 緑猫さん» お返事ありがとうございます。分かりました!楽しみにしながら待っときますね!更新頑張ってくださいね (2020年1月1日 0時) (レス) id: 446dbb4469 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫 - (o^^o)ピコ(o^^o)さん» コメントありがとうございます！99話まで解禁した後に全体公開をする予定ですのでもう暫くお待ち下さい！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 609bae11e2 (このIDを非表示/違反報告)
(o^^o)ピコ(o^^o)(プロフ) - コメント失礼します！前からこの小説お気に入りで、いつもワクワクしながら読ませていただいてます！ 続編のパスワードを教えて頂けませんか？宜しくお願いします。 (2019年12月31日 20時) (レス) id: bae95daf70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2019年5月12日 19時
