39話 ページ39
＊
｢テメェの個性なんだ。｣
｢…｣
｢…個性なんスか。｣
舌打ちをしかけた爆豪を見なかったことにしてAはどうして？と爆豪に聞いた。Aには爆豪が初めから答えを望むような性格に思えなかったからだ。
｢去年のと今年の体育祭を観た。けど、個性が全く分からなかった。｣
｢へぇ、わざわざおれの活躍を。｣
｢ちっげェわ！テメェの醜態を見てやろうと思ったんだよ！｣
｢残念だな、醜態どころか優勝してて。｣
箸で少し焦げた卵焼きを口に運びながらAは表情を変えずに爆豪を煽った。否、A自身に煽ろうという気はなかったが10人中9人は煽ったと答えるだろう。ところが爆豪は慣れたようにそれを受け流した。Aと話すのは2度目だが1度目(サクラという迷子の女の子と出会ったとき)が濃すぎたのだ。
爆豪はスプーンでカレーを掬う。少し冷めたカレーだが味は美味しかった。
｢ンで、個性はなんスか。｣
｢ヒントはおれのヒーローネーム。｣
｢あ？｣
さっさと教えろよと思いながらも爆豪は与えられたヒントを元に素直に考え始めた。Aのヒーローネームは"sunrise"、日の出という意味だ。そのまま考えると日に関することだが、果たしてAは率直に付けるような人間だろうか。捻って…いや、寧ろ面倒くさがって飾らずにいそうでもある。というかここまで面倒臭がりだと本人が付けたのかすら怪しくなってきた。
体育の動画では全く分からなかった。全くとは言い過ぎかもしれないが本当に分からなかったのだ。瞬殺だった。
第3種目でのタイマンで、開始の合図と共に対戦相手は皆一様に個性を使用してAから離れた。Aが接近戦向きの個性の持ち主なのかと思ったが、離れて直ぐに相手は動きが止まったように見え次の瞬間にはAに組み敷かれていたのだ。そして間髪入れずにAは相手を掴み場外へと投げ飛ばす(この場面を見たとき爆豪はAが意外と脳筋なのかもしれないと思った)。
相手が弱いのではない。寧ろ、ヒーロー科2年目の経験豊富な者達のさらにその中で勝ち抜いてきたよりすぐりの者達だ。つまりそれは、Aが規格外に強いということを意味する。
接近戦向きで日に関する個性。恐らく、閃光などというショボイものではないだろう。日…火か？だが試合中に火を見る機会はなかった。
怪しいところを見つけては一時停止と再生を繰り返したのにも関わらず、分からなかったのはあまりにも不愉快だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑猫(プロフ) - 月さん» お聞きくださりありがとうございます！続編は49話まで解禁したら公開しようと思っているのでもう暫くお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年5月12日 21時) (
レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
月 - すみません、続編にパスワードがかかっているのですが、パスワードはなんですか、、? (2019年5月12日 21時) (レス) id: 43155a1990 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 竹薮さん» コメントありがとうございます！anotherは実録なので同じような人が身近にいたんですね(笑) わーー！サンライズ好きですか！！！？めちゃめちゃ嬉しいです！！！更新頑張ります！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - アクトS18さん» コメントありがとうございます！刺さったようで嬉しいです(笑) 頑張ります！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 457e9c6f45 (このIDを非表示/違反報告)
竹薮(プロフ) - LINEであけおめことよろとか言っている人いて思わず笑いました(笑)サンライズ好きです、更新頑張ってください、応援してます。 (2019年5月1日 11時) (レス) id: 27e37010d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緑猫 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...
作成日時：2019年3月31日 9時
