"俺を好きになって"なんて言わせない。 (ページ5)

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こうなったらもう手に負えない事が、
経験的にわかるようになって目黒との時間の長さを実感する。

「目黒って意外と嫉妬深いよね」

目「そうだよ、俺って意外と嫉妬深いってAさんと会ってから気づいた」

ぷいっと口を尖らせる姿に、苦笑いしてしまう。

「嫉妬深い男はモテないぞ」

目「別にモテなくていい、Aさん以外には」

「ほら、コーヒーでも飲も」

目「あ、話そらした」

色違いのカップを手に持って、机にコトッと置くと
諦めたのか目黒は隣にやってきてコーヒーを一口飲む。

「まぁ、今にわかるよ。全部」

目「どう言う事？」

「私じゃなくて向こうが黙ってないと思うからね、めんどくさいけど」

口に入れたブラックのコーヒーの苦味が
じわーっと全身に広がっていく。

甘いものが昔は好きだった。
初めて飲んだコーヒーはお砂糖をたっぷり入れたし、
ケーキとかクレープとか、甘いものを好んで食べた。

でもいつからだろう。
甘ったるいものを受け付けなくなったのは。

…きっと彼と出会った日から。
あの甘ったるい雰囲気が、私は苦手なんだ。