"俺を好きになって"なんて言わせない。 (ページ11)

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康「…ぴー、…しょっぴーってば」

翔「…え？なに…」

康「なんやぼーっとして、」

あぁ、久しぶりに思い出してしまった。
まだカチャカチャと音を立ててスプーンを口に運ぶ。

康「…心配やんかぁ、昔と変わったもん。A」

翔「…そうか？」

康「そうやで、関西から移動になった時も泣き言一つ言わんかったし。変に強くなってしまったんよ」

別にAは、強かったわけじゃない。
確かにあの時、Aは涙を堪えていた。
弱音だって吐いた、その相手は俺だった。
ずっとそばにいたのは俺のはずだった。

"なんでだろ、翔太にならなんでもいえる"

"初めて声をかけてくれた人"
たったそれだけで、俺はAの中で変わらないポジションを手に入れた。

兄貴のでもあり、親友でもあるそんな人。

"…好きかも，私"

頬を赤らめながらそう伝えてきたのは
AがSnowManに加入して一年が経った頃だ。

なんとなく、気づいてた。
でも、聞きたくなんてなかった。
聞いてしまったら、現実になってしまうから。

翔「…Aもさ、ずっとしてんだよ。」

康「へ？なにが？」

翔「…いや、なんでもねーわ」

Aの片思いは叶ってはいけない。
叶ってほしいと願うには、Aは責任を負い過ぎたから。