#25 右京 side ページ25
Aがいなくなってから1週間が経った。
いつも通り寺ん中で横になる日向の様子に特に変わりはないような気もするが、それでもどこか、気の抜けたような、なにかがポッカリあいてしまったような、そんな。
それは俺にも、左京にも、もちろん当てはまる訳で。
「……1週間だなあ」
「……」
「もう帰ってこねえんじゃねえか、日向」
「……それでいい」
「はっ。………ほんとかよ。そんな抜け殻みたいな面しやがって」
左京が立ち上がる。そういやいつもここで座る時は煙草を吸っているのに、最近そんな姿は見てない気がした。
「今更あいつのこと諦めるなんて俺達には無理なんだよもう」
Aはいったい、どこにいるんだろうか。ちゃんと飯、食ってんのかな。俺はあんまり食欲がわかねえよ。料理だって作り甲斐がない。
……やっぱり。
「あいつがここにいるのが日常だった。あいつと飯食ってなんか話して寝て。……なあ、そうだろ日向」
「……俺もだ日向。なーんかやっぱ、もの足りねえよ」
今にも降り出しそうな曇り空だな。そう思っていると、案の定雨がぽつり、ぽつり、またぽつり。一気に大粒の雨になる。
あいつがそこに座ってたのも、確かこんな雨の日だった。
スッ、と俺の横をなにかが通る。
傘が開く音。その傘の色は、赤ではない。
「……お前らがうるせえから行ってくるだけだ。着いてくるかどうかはあいつ次第だからな」
雨の中を歩いていく日向の後ろ姿。法被を羽織っていない背中は相変わらずひょろそうだ。
「素直じゃねえなあ」
「……それが日向だろ」
ちら、と見えたのは、あれはきっと、A用の傘だろう。
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堕天使魔夜降臨(プロフ) - おむらいすさん» 最後良いところで終わらせてるけど返事が気になる! (2017年8月24日 9時) (レス) id: 5e5aea13cc (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 「俺にまったくものおじしない」です!!誤字までご指摘いただきありがとうございます゚(゚`ω´ ゚)゚ありがたいです!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: ae7b2e867a (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 朝から居ちゃいちゃの所、イチャイチャですよ。 (2016年8月18日 17時) (レス) id: f800aad533 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 俺に全く物怖じしないってどう読むんですか?「初めて見たんですが、面白いです!更新頑張ってください!」 (2016年8月18日 16時) (レス) id: f800aad533 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす(プロフ) - ヒメさん» ありがとうございます(;Д;)(;Д;)ただいまノロノロと頑張っておりますよ…… (2016年7月31日 8時) (レス) id: ae7b2e867a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらいす | 作成日時:2016年7月26日 1時