クロネコとだるま。【完結】

#19 右京side ページ19

「まーたいなくなってるぜぇ、日向」

「……どうせ村山ってやつのところだろ」

「村山、って……鬼邪高のやつか？」

「そうそう」

「……おい日向、聞いてんのかよ」

「……ああ」








日向は、Aに依存してると俺は思う。…でも、縛りつけてるようでもないし、かと言ってただ自由にさせてるわけでもないようで。不思議だ。



コブラとの１件があってからというもの、日向はどこか、変わった気がする。丸くなったっつーか、考え込むことが増えたっつーか。









「……なあ日向、お前はAを達磨に入れる気はないのか？」









達磨に入れてしまえば、Aは自由が効かなくなる。今見たにフラフラと歩くことなんてできなくなるだろう。あいつはそれを、嫌がるかもしれない、………でも。









「……そんなの、あいつと出会った時から思ってんだよ」

「！…」

「日向、」

「ただ、それは今じゃない」

「……あいつが入りたい、そう言う日まで待つってことかよ」

「さあ、それはわかんねぇなぁ」

「……、」









２人とも、素直じゃない。

Aはあぁ見えてきっと日向のことが好きだし、…日向もきっと、Aのことを。だからあいつも今までここに何度も帰ってきてるんじゃねえのかよ。









見てて煩わしいんだよな、こっちが。






感じた苛立ちを隠すために立ち上がると、日向も立ち上がって出口の方へぺたぺたと歩いていっていた。いつものように、達磨一家の法被を羽織りながら。









「どこ行くんだよ日向」

「その迷惑娘のところだ」

「「！！」」









俺と左京は、その返答に思わず顔を見合わせた。

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