#17 ページ17
__あたしは夢を見ていた。
「A、」
日向にいつものように名前を呼ばれたあたしは、なぜか、達磨一家の赤い法被を着ていた。
「……バーカ、こっちだよ」
日向はそう言いながら、笑ってる。
左京も右京も、みんな。みんな。
「お前は仲間だ。達磨一家のな」
そう言われて、ぎゅ、となにかに握られたような感触がして。
「……日向、」
日向が、あったかい大きな手で、あたしの右手を掴んでいたんだ。
……仲間、か。
あたしは、いつから一人なんだろう。
いつから、あたしは一人ぼっちなんだろうか。
強く握られた手をまたそれよりも強く、あたしが握り返すと、日向は「痛ぇんだよ、」そう言って、笑った_____
「……、…ゆ、めか」
はぁ、とため息をつく。
あたしの周り、寺の中には誰もいなかった。日向も、左京も右京も、誰も。シン、と静まり返っている。
なんか、寂しい。
「え……これ、」
その代わり、って訳ではないけど、あたしの体には、…うん、きっとこれは、日向の法被だ。日向の大きな、赤い法被がばさりとかけられていた。すぐに分かった。
夢は、これのせいだったのか。
「……、」
達磨一家
そう大きく書かれたこの法被。
よく見ると、字体が丸っこくて可愛いな、なんて。
「……ん、おう、やっと起きたか」
「日向、」
すると、入口からやっぱり法被を羽織ってない、日向が入ってきた。その後ろには、右京たちもいた。
「……っくしゅ、」
「おいおいおい…」
「風邪かあ?」
「ん、これ」
「……バーカ」
……その言い方、夢の中の日向とそっくりじゃん。もしかして正夢?
なんて思っていると、「それ、」と現実世界の日向はあたしが持つ1枚の法被を指さす。
「それ、着とけ」
「……は、?だってこれは日向の、」
「いいから着とけっつってんだ。お前に風邪引かれるとこっちが迷惑すんだよ」
「分かったな」なんて2度も念を押され、それもいつもよりも真剣に。……風邪なんか引かないし。そうブツブツ言いながら渋々袖を通すと、やっぱりあたしには大きかった。
「ぶはっ、大きいな、ブカブカじゃねえか」
「うるさい」
「似合わねえなあ」
「……返す」
「右京左京ちょっと黙れ。お前はいいから着てろ」
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堕天使魔夜降臨(プロフ) - おむらいすさん» 最後良いところで終わらせてるけど返事が気になる! (2017年8月24日 9時) (レス) id: 5e5aea13cc (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 「俺にまったくものおじしない」です!!誤字までご指摘いただきありがとうございます゚(゚`ω´ ゚)゚ありがたいです!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: ae7b2e867a (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 朝から居ちゃいちゃの所、イチャイチャですよ。 (2016年8月18日 17時) (レス) id: f800aad533 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 俺に全く物怖じしないってどう読むんですか?「初めて見たんですが、面白いです!更新頑張ってください!」 (2016年8月18日 16時) (レス) id: f800aad533 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす(プロフ) - ヒメさん» ありがとうございます(;Д;)(;Д;)ただいまノロノロと頑張っておりますよ…… (2016年7月31日 8時) (レス) id: ae7b2e867a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらいす | 作成日時:2016年7月26日 1時