クロネコとだるま。【完結】

#16 日向side ページ16

「…んん、……」

「……ふ、ほんと猫だな」









今日も天気がいいからか、うちの猫はぐっすり昼寝中。光が差し込んで、しかも風通しの良いところを見つけたのか、普通に1人、寺の中で寝転んで熟睡している。






触れた髪はやけにサラサラで、猫よりもやはり犬ようなものをこいつに感じた。結局、俺に尻尾をふりはしなかったが。








『あたしのことを知りたいって思わない訳？』






……分かんねえよ、俺だって。








「おい、風邪引くぞA」

「……ん…だいじょうぶ、」

「大丈夫じゃねぇよ、ほら、もう起きろ」

「……むり。……邪魔するな、」

「あ？……あ、お前、……」









……こいつ。





またAはすぐに、どうやら夢の中へ行ってしまったようだった。寝起きはよくなさそうだ。ったく、寝相はいいっていうのに。









「……しゃあねぇなあ、」









仕方なく、着ていた法被をばさりとかけてやる。思いのほかサイズが大きかったのか、小さく縮こまって寝ているAを真っ赤に包んだ。









「……お前もいっそ、だるまになるか」








その声にもちろん返答はない。









『達磨一家』

その文字が、Aの背中に写ってるように、見えた。

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