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58話 ページ14

莉犬side

立ち尽くすAちゃんは髪を短く切っていた。

毛先が真っ白に染まったAちゃんは目を大きく開いてこちらを見ていた。

莉犬「A…ちゃん…」

『……』

震える手は不器用に作られたようなズボンを握りしめていた。

さとみ「A!」

『ビクッ!!』

さとみ「なんで…俺たちから…離れていくの?」

声は怒ってるけど、口調は泣きたいほど優しかった。

さとちゃんはAちゃんが初めて仲良くなれた女の子で

いつもより楽しそうに接していた。

Aちゃんは目に涙を貯めて堪えるように口を開けた。

『今日の夜、私はあいつと戦うんです。…もう、誰も死なせたくない…』

ななもり「今日の夜?…そんなこんな早く…」

『この髪を見て…』

Aちゃんは1束髪の毛を手に取った。

『夜には必ず白く染る。分かるんです、何が起きるって…』

みんなが黙り込んだ。

知っているから。白い髪の毛になった時、巫女の記憶と力を思い出すこと。

黙っていたことに多少罪悪感があったから余計辛い。

『その反応…知ってるんですか?』

そうだ、Aちゃんは勘が鋭い。

『教えてください、何が起きるのか。』

俺たちは弱い。

怖いことにもこんなに勇敢に立ち向かうAちゃん。

辛い過去を知られたくがないために黙り続けた俺ら。

Aちゃんは少し怒っていた。

でも、今にも壊れてしまいそうなくらい……怯えていた。

『私は…私らしく…生きて、死にたいんです。』

莉犬「し…死ぬ?」

『神との相殺です。罪を背負って神と地獄に落ちます。』

ころん「ダメだ!」

『これが一番いいんです!』

るぅと「Aちゃんは、僕らの大切な!」

『だからこそ!』

『だからこそ、死んで欲しくないんです。私のせいで…』

膝から崩れ落ちたAちゃん。

草を握りしめた時触った所からジワジワと草が成長して真っ白な花が咲き誇った。

『みんな生きてて欲しい。』

『私は罪を背負って死ぬ。それが一番いいんです!』

ブワッ!!

花びらが一斉に空中に舞った。

今にはふさわしくないほど綺麗な光景だ。

花びらの空気の中重力に逆らうように髪の毛がフワフワ浮いて

見とれるほど美しいAちゃん。

ちょうど日が沈んだ頃だった。

俺は決意した。

花びらが舞う中Aちゃんの近くに膝まづいた。


莉犬「その罪、俺も一緒に背負うよ。」

莉犬「一緒に背負うから、死なないでよ。」

女の子の前で泣くなんて、俺情けないな。

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Ri_ - (名前)のぞみさん» ありがとうございます(´;ω;`)とっても嬉しいです(´;ω;`)読んでくださりありがとうございます(´;ω;`) (2020年7月15日 20時) (レス) id: 527ae1b069 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)のぞみ(プロフ) - こんにちは(」・ω・)このお話すごく面白いです!頑張ってください!!!!!! (2020年7月14日 22時) (レス) id: 0285c139ec (このIDを非表示/違反報告)
Ri_ - 、さん» 指摘ありがとうございます!外しているはずなんですが…表示されている場合はまた外してみます。 (2020年7月7日 23時) (レス) id: 527ae1b069 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Ri_ | 作成日時:2020年6月29日 21時

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