僕の一瞬に君の終わりがあった。 (ページ5)

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『しょうがないからこの画伯が君の自画像を描いてあげるよ！』

「嫌だよ。顔ジロジロ見られたくない。」

『ケチケチすんなよ！』

勝手にスケッチブックを開き鉛筆を持ち描き始めた。

『あ、全然動いてくれていいよ。部分さえ見ればわかるから！』

｢芸術家っておかしい人ばっかりだよね。｣

『偏見。』

今までとは目付きを変えて真面目な顔で絵を描き始めた。

心から絵が好きなんだろう。

『もっと長く……絵を描けたなら……((ﾎﾞｿｯ…』

「え？なんて？」

『顔のパーツが整ってるととても描きやすいよ！』

「そりゃどーも。」

10分くらいして奴は鉛筆を置いた。

『ほら！出来た！影とか薄いけど！』

見せられたのはまるで写真のような僕だった。

「凄い。才能って本当にあるんだね。」

『自分は才能に恵まれてるからね！』

どやるな。

奴は飽きたのかベットにスケッチブックを乱暴に投げた。

『なあなあ！今学校で何習ってんの！？』

「え？えーっと…関数だよ。」

『え？関数？なにそれ。』

「君……院内学級行ってるんじゃないの？」

『あー、マリーゴールドまた今度買ってきてー。』

全く、嫌なことからはすぐ目をそらすタイプか。

「どうしてマリーゴールド？なかなか売ってないよ？」

『うーん。そうだなー。』

『自分の願い……かな？』

願い？詩的例えに戸惑う。

奴は色んなものを棚や引き出しから取り出す。

点滴が外れそうだ。

僕もいい加減飽きた。帰りたい。まぁ、最初から帰りたいけど。

看護師「点滴変えますよー。」

『あ、はーい。』

｢じゃあ僕は失礼するよ。｣

『ありがと！また呼び出してやんよ！』

「やめてくれ。」

病院内には僕よりも小さな子達がたくさん入院した。

珍しいのかジロジロと見られるのは正直良くは思わなかった。

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先生「お前はあいつに気に入られたな。」

「辞めるように言ってください。僕何話せばいいのか分かりませんよ。」

先生「あいつのノリに乗ってやれ。」

また逃げる。

共通点もないまますぎる日々に少し慣れてきてしまっていた。