〖TOP4〗Fondness.〖短編集〗

Honest.[gtmn] ページ8

私は自分の気持ちをすぐに口に出してしまうところがある。好きって思ったら好きって言うし、嫌なことがあれば嫌だと言う。私の悪いところだ。



私のことが好きだと甘い言葉をかける男たちはそういうとこが嫌いと言って離れていく。私が私自身を嫌いなように。



「ガッチさんって私のことずっと好きでいてくれるよね｣



今まで1番長かった交際期間は多分5ヶ月。自信はない。それぐらい数え切れないほどの男たちと付き合ってきた。別れた後の寂しさは新しい恋で埋められると思っていたから。




「好きだもん、どうしたの急に」

「すぐ嫉妬するじゃん、私｣

「可愛いじゃん｣



明日はガッチさんと付き合ってちょうど5ヶ月。
ここまで何一つ喧嘩もなく、平和に過ごしてきた。



「ガッチさんのホーム画面、コラボ相手写ってるのすごく嫌だ｣

「そう？じゃあAとの写真に変えちゃおっかな｣

「ごめん、めんどくさいでしょ｣

「なにいってんの、何にも面倒くさくないよ」




嫌なものは嫌。自分でも分かっていた。
歴代の元彼達はこういう所が面倒だったのだろうと。
そんなんだから幸せになれないんだ、ともうどんな顔だったかも忘れた元彼の言葉を思い出す。




けれどガッチさんは嫌がるどころか嬉しそうに私との写真を選んでいる。




「俺はAのそういうとこが好きなの｣

「じゃあ、幸せ？」

「当たり前じゃん。俺の好きな人が俺の横で幸せそうに笑ってくれてるんだから。｣



ガッチさんはいつも私の欲しい言葉をくれる。




「6ヶ月の時はケーキでも食べよっか｣




ガッチさんの見る未来には当たり前のように私がいる。




コーヒーを飲みながら私の手を優しく撫でて「あ、日付変わったよ。記念日だね」なんて嬉しそうに携帯をみせてくる。



ホーム画面には記念日の時に連れてってくれるレストランの前で撮った写真。 ガッチさんにくっついてバカみたいに顔を赤くしたこの上なく幸せそうに笑う私がいた。



「ガッチさん好き。ほんとに大好き」

「ん、俺も大好きだよ｣



自分の気持ちをすぐに口に出してしまうところ。
そんな私を好きだと言ってくれる人がいる。
それだけで私は誰がなんと言おうと1番の幸せ者だ。

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