〖TOP4〗Fondness.〖短編集〗

Crush.[gtmn] ページ16

「ほんと、どうしよ｣

「どうしたいのよガッチさんは｣

「付き合いたい。んで、抱き潰したい｣

「ひードスケベ！」


深夜2時、ガッチさんのお酒に付き合っていたらいつの間にか恋愛相談にまで付き合わされていた。ああ、今日は寝れないな。



「でも年齢とかさ〜、俺生活力皆無だし…｣



だったら、私にしとけばいいのに。
何が悲しくて長年片想いをしている相手の恋愛相談に乗らなきゃいけないんだよ。



「はぁ、告っちゃえばいいじゃん。」

「出来ないからAちゃんに相談してんじゃんか｣



それもそうか。
でも目の前で私じゃない誰かの話をされたらもうたまったもんじゃない。



「ふん、私だったら無理矢理にでも好きになってもらうわ。ガっとキスしてね。それも深い方！｣



そんな事、何一つできないくせに。
できたらガッチさんに少しは意識してもらえてるっての。
強がってんじゃないわよ私のバカ。



「Aちゃんはそれされたら惚れる？｣

「まあね！」



ぱっと勢いで答えてしまって少し自分が言ってることが恥ずかしくなってきた。
でもガッチさんにそんなキスされたら、なんて妄想したらちょっとニヤケてしまうかも。
もっとも、その相手は私ではないのだけど。
あー羨ましい。


「やってみるよ」

「まあ、お熱いこと｣


ガタッとガッチさんも立った音がして、まだ飲むか聞こうとしたらいきなり唇を塞がれた。
私の口を無理矢理指でこじあけて舌をいれてくる。
ビールの味がする、ほろ苦いキス。


「ん…ぁっ…」


何度も何度もされるがままにキスをされ、やっと開放されたが、立っていられなくなった私はガッチさんの胸に身体を委ねるほかなかった。



「惚れた？」



なんて、息も切らさず余裕そうに聞いてくる。
ただでさえガッチさんにキスされたことで頭がいっぱいいっぱいなのに、



「惚れ、え？」

「そのままの意味だけど｣

「それ、どういう意味かわかって…｣

「ん？まだ足りない？｣

「た、足りた！ええ好きよ！てかずっと前から好きなのよ私は！」

「…ええ！？｣



さっきまで私にキスをしてきた大人が何をそんなマヌケ顔してるんだか。
それも束の間、両想いだとわかった彼は再び私にキスをしようとする。




「まって、も、むり…」

「おっとこれは…参ったな｣



私は体力がもうないって意味で言ったんだけど…彼はどうやら違う解釈をしたみたいだ。
へらへら笑っているがなんだか余裕がなさそう。
やっぱり今日は寝れないな。

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