〖TOP4〗Fondness.〖短編集〗

Sense.[ky] ページ27

ねえ、いつになったら私の事見てくれるの？





「わりぃA。さっき起きたからまだ着替えてない｣

「しってた。だから来たのよ｣




平気で私を部屋にあげちゃってさ。
そろそろって学んじゃったよ、私も。
私と遊ぶ約束してるのに焦る様子もないし、だっさい寝巻ききて、寝癖も直さずにいれるなんて私を女として見てないってことでしょ。




「あんたさー、そんなんだと彼女出来ないよー？｣

「余計なお世話ですー｣




そうやって私の前で普通に着替えるのやめてくれないかな。もう何回壁に飾られた変な絵を見つめてやり過ごしたことか。





「その絵気になんの？いつも見てるけど｣

「ばーか、変な絵としか思ってないよ｣

「はー！！これの良さわかんないの！いいでしょうがこの赤と青のシンプルなデザインが！これ選ぶセンスよすぎ！｣





半裸で堂々と威張るキヨ。そんな興奮しないでさっさと服着てください。キヨは見られる事に抵抗ないって言ってたけど、それはそれで悲しいことだよなとバレないようにため息をつく。




「センスないよキヨは」

「まだ言うか」

「だって…いやなんでもない｣




私の事好きにならないとか、ほんとセンスない。
その頑固な寝癖を直してあげるのも、だらしない姿を許せるのも、その変な絵をイメージしたネイルにしてるのも、多分私ぐらいだよ？
おかげさまで周りの人になんだそのデザインはって言われる事が多くなったよ。





「あ、爪変わってんじゃん｣

「げ、気づきやがった｣





キヨは結構乙女の些細な変化に気づいてくれる方だった。ほんの少し前髪を切っただけでも「なんか今日違う？」なんて言ってきたりして。



まあ、こんなの大したアピールにもならないしそこまで気づくわけないか。
仮に気づいたとしても、俺の絵じゃん！って言ってニヤニヤしてくるだけだ。想像出来る。





「まあね、好きな子の事はよく見てるんで｣

「はいはい………え？」





今、サラッと何か言わなかったか？
そう聞くことも出来ないぐらい私がポカンと口を開けていると、少し顔を赤くしたキヨが得意気に笑った。






「な？俺、センスいいっていったしょ？｣

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