〖TOP4〗Fondness.〖短編集〗

Wish.[gtmn] ページ24

「おそ…｣


今日はレトさんの家でタコパ。
その食材を皆で買いに行こうと約束したのに、ここにいるのは私とガッチさんの2人だけ。



「なにやってんだあの3人は｣



困ってるガッチさんには悪いけど、正直嬉しかった。
大好きなガッチさんと2人きり。
さっきから口角が上がるのを必死に抑えている。




「連絡もこな…あ、きたきた」

「お、なんてなんて？」

「んーとね……あ、ええぇー…」




スマホを見るやいなや、呆れたように笑いだしたガッチさん。
頼む、皆寝坊しろ。今日は許すから。
神様お願い、2人きりの時間をもう少しだけ。



「俺らスーパーの場所間違えちゃったみたい｣

「…わお｣

「お互い買ってから集まろうってさ。俺らはお菓子とかジュース買おっか｣

「え！うん！」



まさか本当に2人きりになれるとは思っていなかったので驚いた。心の中で神様ありがとうと10回は呟いたと思う。



「あ、なんでAちゃんが持ってんの。俺が持つよ｣

「あり、がとう」



重たいものを持ってくれるとことか、相槌の声が優しいとことか、お酒に目がないとことか…私はガッチさんの全てが好きだ。



あわよくばガッチさんの彼女にしてください、なんて願望は神様もさすがに聞いてはくれないか。




「さ、合流しようか｣



幸せな時間はあっという間に過ぎて、会計を済ませて外へ出る。当たり前のようにレジ袋はガッチさんの右手にある。



「あ、そうだ」



ガッチさんが急に立ち止まって、ガサガサと袋の中を漁る。ちょっと待ってねー、と取り出したのは買ったつもりのないアイスクリーム。



「はい！これAちゃん好きじゃなかったっけ？｣

「え！なんでこれ！｣

「あは、覚えてた｣



でもこのアイスが1番美味しいって言った相手は確かキヨくんだったはず。
一緒に居たから聞こえていたんだろうけど、まさかこんな些細な事を覚えくれているなんて…



「…好き」

「え？｣

「あ、違う！アイス！うん！｣



あー私の意気地無し…こんなんじゃ彼女どころか、好きすら言えないよ…


「そんなに美味い？」


私が自己嫌悪に陥っているとガッチさんがじゃあ1口もーらい！と私の食べかけのアイスを齧った。ガッチさんの左手が私の手に触れ、そのまま恋人繋ぎをされる。



「なんか、新婚さんみたいで楽しいね｣

「え！手！ん！？｣



ガッチさんの発言と行動にパニックになる私を見てケラケラと楽しそうに笑った。







あれ？神様、段階飛ばしてない？

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