27話 ページ27
「レトさん、ここ左!で、そこの回復ひろって…」
「これ?」
「そうそう、あと少しでクリアだ!」
Aちゃんと2人でゲーム中。
とは言っても横でAちゃんがアドバイスをくれるからそれに従うだけだけど。
「キヨ、うっしー、お茶」
「ありがとガッチさん」
「いただきまーす!」
気を利かせてやるよ、と3人はたった2時間のゲームで疲れたとか言って後ろで休憩をしている。背中にニヤついた視線がグサグサとささってちょっとウザイ。
「ここら辺でさっきもやられちゃったもんね」
「次こそは!」
「頑張れ!頑張れ!」
さっき俺が叫んだ言葉が奇跡的にAちゃんには聞こえてなかったようで安心している。
でも口に出してしまった以上いつもより彼女を意識してしまうから、今このタイミングで3人に気を遣われたのは正直なところありがた迷惑だった。
「レトさん、敵来てるよ?」
はぁ、かわいいなあ。
まつ毛長いし、肌綺麗だし、唇もちっちゃくて…
さっきの聞こえてなかったの、やっぱりちょっと惜しいことしたかもなあ。
「レトさん?」
じっと見つめる俺を不思議そうな顔で見つめ返すAちゃん。2、3回瞬きをしたら急に頬をぽっと赤く染めた。目を泳がせながらどこかぎこちない動きでモニターへと視線を戻す。
「え?」
なに、今の顔――
「…2人とも、攻撃されてるけどいいの?」
「えっ、あ、やああ!もう!また最初からじゃん!ごめんAちゃん…」
見つめあっていたのはたった数秒だったが、いつの間にかモニターにはゲームオーバーという赤い文字が大きく映し出されていた。
時間的にもそろそろお開きにしようか、とガッチさんが言う。
「また、やればいいよ」
モニターから目を離さないまま小さく呟くAちゃん。あれだけクリアを楽しみにしていたというのに、ゲームオーバーの文字を指でなぞる顔はどこか嬉しそうだった。
216人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シノノメ。(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» 返信遅くなりました申し訳ありません!!他の作品も呼んでくださったのですね!!ありがとうございますわああああああああ!!がんばりまああああす!!! (2022年11月21日 15時) (レス) id: 013d671d7d (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - ぶっ通しで読んじゃいました、、他の作品もこの作品も本当最高だ.....これからも超応援してます!!!!!!好きだああああああああ!!!(煩) (2022年10月31日 6時) (レス) @page40 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ういろさん» ハッピーエンドに出来て良かったです!こちらの作品も読んでくださったのですね!ありがとうございます( ´•̥ו̥` ) (2022年9月28日 3時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ういろ(プロフ) - 主人公の女の子が幸せになれてよかった(´;ω;`)泣いちゃいました!! (2022年9月28日 2時) (レス) @page40 id: c9d9bd71e7 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - 澪さん» 最後まで!本当にありがとうございます( ;ᯅ; )他の作品も頑張りますのでよろしくお願いします!! (2022年9月26日 22時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シノノメ。 | 作成日時:2022年7月6日 2時