35話 ページ35
「ほら、乗れよ」
「嫌だと言ったら？｣
私のその一言で、笑っていた顔がスっと狂気じみた目に変わった。
思わずゴクリと唾液を飲み込むと小さな悲鳴のように喉が鳴る。
「言ったろ？お前の大切なモン、全部壊してやる｣
あの日のお前みたいにな、とククッと喉を鳴らしてもう一度笑った。精一杯そいつの顔を睨む。
「…なんだその目は？昨日の可愛い可愛いAちゃんはどこに行ったんだぁ？俺に泣きついて見せろよ、やめてくださいって言えよ！ほら！｣
体がぶっ飛ぶ程の力で昨日と同じ右頬を殴られる。
塞ぎかかっていた傷がもう一度パキッと割れ、口いっぱいに血の味が広がった。
「いっ…！｣
「雑魚が…顔潰されたくなきゃさっさと乗れ！」
髪の毛を捕まれ、ズルズルと車の方へ引きずられる。
手を引っ掻いてなんとか抜け出したが、すぐに捕まってしまった。
「やめ…大人しくついて、いくから…離せよ！この、クズ野郎！｣
私の態度に堪忍袋の緒が切れたのか怒号のように声を上げ大きな手で私の首をぐっと締めた。
じたばたと手足を振り回すが昨日の傷がズキズキと痛んで全然当たらない。
｢さっきからなんだその態度…せっかくもう一度俺の女にしてやるって言ってんのによ！｣
「お前、なんて、だいっ…きらいだ！｣
何言ってるんだろう、私は。
皆を守れるならこのままどこか遠いところに連れていかれてもいい。乱暴されてもいいって思ってるはずなのに。
さっきからなんで抵抗しているんだろう。
「て、てめええ！！｣
もう、死ぬんだと思った。
意識が飛びそうになる瞬間いるはずのない彼の声が聞こえてきたから。
「Aちゃんに何すんだああ！！｣
うっすらと目を開けるとあいつは地面にへばりついていて、私は誰かに抱えられていた。
「Aちゃん！よかった！｣
「レト、さん？」
なんでいるの？危ないよ。
ああ、あいつが起き上がる。
早く逃げてよ。あいつ、あいつはヤバいやつなんだよ。
私の事はいいから、逃げて。
「Aちゃんは俺が守ってみせる｣
私を抱きしめる手がカタカタと震えている。
こんな目に合わせたくなかったのに。
怖い思いをさせてごめん。
ごめんね、レトさん。
「レトさんお願い…助けて…」
こんなこと言って、ごめん。
「当たり前じゃん」
レトさんが優しく笑う。
その笑顔に安心した私はゆっくりとまぶたを閉じた。
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シノノメ。(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» 返信遅くなりました申し訳ありません！！他の作品も呼んでくださったのですね！！ありがとうございますわああああああああ！！がんばりまああああす！！！ (2022年11月21日 15時) (
レス) id: 013d671d7d (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - ぶっ通しで読んじゃいました、、他の作品もこの作品も本当最高だ.....これからも超応援してます！！！！！！好きだああああああああ！！！(煩) (2022年10月31日 6時) (レス) @page40 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ういろさん» ハッピーエンドに出来て良かったです！こちらの作品も読んでくださったのですね！ありがとうございます( ´•̥ו̥` ) (2022年9月28日 3時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ういろ(プロフ) - 主人公の女の子が幸せになれてよかった(´；ω；｀)泣いちゃいました！！ (2022年9月28日 2時) (レス) @page40 id: c9d9bd71e7 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - 澪さん» 最後まで！本当にありがとうございます( ;ᯅ; )他の作品も頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2022年9月26日 22時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年7月6日 2時
