31話 ページ31
「あっちぃ…｣
夏は朝昼夜どの時間帯も関係なく暑い。
打ち合わせの帰り、日が落ちかけたこの夕暮れ時でさえ、蒸し蒸しとした暑さに道端に生えたマリーゴールドが項垂れている。
動く度に流れてくる汗に嫌気がさしながらも、早く家に帰りたいので早足で歩く。
ﾌﾞｰﾌﾞｰ
誰だよ、と思いながらも仕事の電話だと出ない訳にはいかないので立ち止まって携帯をポケットから取り出した。
かけてきたのはまさかのAちゃん。
「え、ど、えぇ？｣
目に汗が入り、痛さで視界がぼやけるものの画面にははっきりとAちゃんの名前が表示されていた。
いきなりの電話、しかも電話越しに会話をするのは初めてなので少し緊張する。
できるだけ道路から離れて、人気の少ない路地で応答ボタンを押した。コホン、とひとつ咳払いをして耳を携帯に押し付ける。
「もしもし！｣
「……レト、さん｣
俺の元気いっぱいの声に対してAちゃんの声は震えていた。
鼻をすする音も聞こえてきて泣いてるんだって、
なにかあったんだってすぐに分かった。
嫌な汗がダバダバと出てくる。
とにかく今はAちゃんの傍にいかないと。
彼女を1人にしちゃいけないと本能が告げる。
「…今、どこにいるの」
「わ、わかん、ない」
「周りになにかある？目印になるような｣
「…ちょっと先に、黄色い、壁の家｣
「わかった、そこまで行ける？」
「うん…」
ぐるりと辺りを見回すまでもなく、俺のすぐ目の前には黄色い壁の家が建っていた。
これかと思い走っていくとちょうど小道からAちゃんが出てきて、止まれずにぶつかってしまう。
「ご、ごめん！Aちゃん！だいじょ…う、ぶ…｣
お互いに尻もちをついて、やってしまったと急いで駆け寄ると明らかに今ついたものでは無い、真っ赤な痣が白い肌に広がっていた。
「な、なに…その怪我｣
「…あは」
Aちゃんは一瞬笑ったが、耐えきれなかったのかすぐに大粒の涙を流し始めた。よく見ると唇の端からも血が滲んでいる。
そっと体を引き寄せると、知らない男の香水が鼻をついた。怒りで気が狂いそうになる。
俺の腕の中で声を押し殺して泣き続けるAちゃんをどうか、どうか壊れませんようにと優しく抱きしめた。
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シノノメ。(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» 返信遅くなりました申し訳ありません！！他の作品も呼んでくださったのですね！！ありがとうございますわああああああああ！！がんばりまああああす！！！ (2022年11月21日 15時) (
レス) id: 013d671d7d (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - ぶっ通しで読んじゃいました、、他の作品もこの作品も本当最高だ.....これからも超応援してます！！！！！！好きだああああああああ！！！(煩) (2022年10月31日 6時) (レス) @page40 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - ういろさん» ハッピーエンドに出来て良かったです！こちらの作品も読んでくださったのですね！ありがとうございます( ´•̥ו̥` ) (2022年9月28日 3時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
ういろ(プロフ) - 主人公の女の子が幸せになれてよかった(´；ω；｀)泣いちゃいました！！ (2022年9月28日 2時) (レス) @page40 id: c9d9bd71e7 (このIDを非表示/違反報告)
シノノメ。(プロフ) - 澪さん» 最後まで！本当にありがとうございます( ;ᯅ; )他の作品も頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2022年9月26日 22時) (レス) id: d09763f888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シノノメ。 | 作成日時：2022年7月6日 2時
