【d!】悪役の戯言 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,538 hit

7 ページ8

『邪魔するで～』

tn「邪魔すんねやったら帰って～」

『あいよ～ってちゃうねん、トントンさんこれ作ったんでよかったら。』

関西お決まりの茶番を繰り広げる。パチっと視線が合うが、それは先程よりも迷惑そうで半ば諦めたような目付きであった。私はそれを無視しながら先程厨房で作ったものをデスクの端っこへと置く。

tn「…なんやこれ、毒でも盛ったんか？」

『そんなまっさかー！リラックス効果があるホットヨーグルトです。これで一息ついてくださいな。』

tn「そんなん要らんわ。片付けろ。」

これ以上勧めても飲むことは無いと悟る。使った材料を無駄にしてしまうのは勿体ないため自分が飲もうとカップを下げる。

露骨にしゅんとした表情を見せるがトントンは一切気にする素振りは無かった。

『過労死しない程度に頑張ってくださいね。眠らなさすぎると精神に異常きたすんで。じゃ、ホンマに邪魔しましたわ。』

書斎を出る前にそう言い扉を閉めようとすると、トントンはボソッと「胡桃」と言った。後ろを振り返ると、資料と睨めっこしながら話してくれた。

tn「最近市民達の間で胡桃が快眠効果があると噂があるんや、お前の作った飲み物よりそっちの方が安心や。」

『…!なるほど、胡桃なら毒なんて盛れませんもんね。かしこまりー！私Aが持ってきて差し上げますよ。』

ビシッと敬礼のポーズをとり部屋を出る。先程の重たい空気は無くなっていた。

確かに胡桃には快眠ホルモンと呼ばれるメラトニンを生成するトリプトファンが含まれている。眠る少し前に胡桃を食べれば快眠が促進されるだろう。睡眠導入剤が開発されていない時代の為、質の良い睡眠を求めた市民達は安価で手に入りやすい胡桃を選んだのだろう。

市民達のことを話してくれたあたり、城の人間だと認めているのだろう。

『避けられている感じはあったけど、嫌われているわけでは無さそうやな。』

そうこうしているうちに厨房へたどり着き胡桃を探すが見当たらない。カトラリーを手入れしていた執事に聞くと食料庫にあるらしい。

執事は取りに行こうとしたが、自身で取りに行きたいと告げ食料庫のある場所を教えてもらい私は早速食料庫へ向かった。

食料庫は１階の鍛錬場の横にあるらしい。もしかしたらまだ会っていない我々キャラ達に会うことが出来るのではないだろうかとウキウキしながら食料庫へ向かった。