【d!】悪役の戯言 (ページ7)

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この世界に来たばかりだが疑問が多くある。

乙女ゲームだというのに選択肢が無いこと、名前を登録していないのに私がAだと知っていること、この悪役がここにいる理由。

私が悪役だからそもそも選択肢という概念がなかったのか、ゲームを作成する際に既に名前がインプットされていたのか…ゲームの機能については考えれば可能性はある程度予想できる。

しかし、私A自身ではなくキャラクター自身はどういう経緯でここに居るのかが検討つかない。

『戦う能力がある訳でも無いのにそれなりの対応をされている…主人公でも無いのになんでなんやろ…』

考えれば考えるほど分からなくなる。企業では無く個人が作ったものだからあまり深くは作られていないのだろうか。

もしかしたら主人公に合えば分かるかもしれない。グルッペンに聞くついでに主人公の居場所も聞いてみよう。

＿＿＿＿＿

城内の1番奥に位置する書斎。どう考えてもグルッペンはここに居るだろう。見るからして頑丈そうな扉を3回ノックすると、中からどうぞと声がした為重たい扉を引き開く。

「グルさん居ないから書類なら代わりに俺が……帰れ。」

『トントンさん…、なんやグルッペン居ないんか。じゃあ用無しですわ。』

室内にはグルッペンは居らず、代わりに明らかに不機嫌そうなトントンが居た。もうリアクションを取るのも敬語を使うのも疲れてしまい、我々のキャラ達がいる事が当たり前に感じている。

トントンは目の下に隈を浮かべ疲弊していたが、グルッペンがどこにいるのか聞いても問題ないだろう。

『お疲れのところすいませんね、グルッペンがいる場所はご存知で？』

tn「そんなん俺が知りたいわ、仕事の邪魔すんならさっさと帰ってくれ。迷惑やねん。」

相当仕事が溜まっているのだろう。私がここに居るだけで迷惑そうだ。私はこれ以上迷惑をかけまいといそいそと部屋を出た。

『睡眠不足とストレスかな…』

トントンの机にあったカップの中にはコーヒーが入っていた。きっと眠りたくても仕事を優先してしまうのだろう。だからといって私が代わりにやることは出来ない。

乳製品をとればリラックス効果が期待できる。仕事を辞めて眠れと言えるような立場では無いため、一息つける暇が出来れば多少は心に余裕が生まれるだろう。

私は食堂へと向かい、とある飲み物を作ってまたトントンのいる書斎の前へやってきた。