【d!】悪役の戯言 (ページ6)

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医者を呼ぶとは言っていたがこんなに早く呼び朝っぱらから診察をするとは…悪女とはいえ国家の人間だからなのか手厚い待遇はしているのだろう。

『いや、ホンマに大丈夫ですって！めちゃくちゃ元気ピンピンです！』

gr「まぁ、呼んでしまったんだ。もしかしたら体に不調があるかもしれないだろうしせっかくだから診てもらえ。頼んだぞ。」

「はい、任せてください。」

『えぇ…』

グルッペンはそれ以上何も言わずに部屋から出ていってしまった。そこから小太りの医者による診察が始まり淡々と時間は過ぎていった。

「……特に体に不調は無いようですね。とても健康的です。」

『でしょうね。…それより、その小瓶はなんですか？』

私は医者が鞄に入れていた複数の小瓶に興味が沸いた。大学では薬学を専攻していた為一般よりは知識は長けている。中世の為あまり医療技術は進歩していないだろうが、当時使われていた薬剤には興味がある。

「これですか？これは麻酔薬です。ベラドンナとワインから作られているんですよ。これを使えば暴れる患者もたちまち落ち着く代物です！」

『ベラドンナ…?へぇ、確かに鼻炎薬には使われたりするかも。でも毒性があるから間違って調合すれば有害性があるような…』

色々と不安に感じ、医者に現在の医療技術を聞くとあまりに酷いものであった。怪我をすれば熱した鉄を当て出血を止めたり、病気を治すために血を抜いたりと…。正気じゃない。

『軍に金を回してるから医療機関に金が回ってへんのか…そら研究は進まんわ。』

「我々国では軍事力が最優先なので、他のことは二の次なんですよ。まぁ、グルッペン総統様達がこの国を平和にしてくれてるんで文句は言えませんがね。」

医者は複雑な表情を浮かべ、部屋を後にした。この乙女ゲームは意外と闇が深いかもしれない。ただキャラ達とイチャイチャしていては気付くことは出来なかった国民の実態。

元の世界に戻ることが最優先とはいえこの実態を知ってしまっては改善するべきであろう。

今現在の好感度では頼み事をしてもあまり聞いてもらうことは出来ないだろうから、グルッペンだけでも好感度を上げてしまおう。

思い立ったらすぐ行動、早速グルッペンに会いに行こうではないか。