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第94話☆無茶な事してまで ページ5





貴「ごめんなさい…病院勝手に抜け出してきて…先生にも看護婦さんにも何も言ってないの…



でも…どうしても、我慢できなかった…っ

どうしても見たかったの、郁弥くん夏也さんが2人で泳いでいるところを…!


この目で見たいのっ。



悪化しちゃうかもしれない、最後になっちゃうかもしれないってわかってる…!





でも…でも!」








Aは顔を手で覆って泣き崩れた。


座り込んで泣くAをただ僕は黙っていた。









いつの間にか僕の怒りは薄まっていた。








だって……僕も同じだから









郁「…A」





貴「…ッ」









僕もしゃがみ込んでAの顔を覆っていた手を掴んで剥がした。


涙のせいで目の下が赤くなってる。









郁「A…本当は僕も見てほしかったよ。奇跡でも起こればいいのになって…



本当に叶っちゃっていいのかよ…

怒る気も失せちゃったよ…」









Aを思いっきり抱き締めた。









郁「ありがとう…無茶な事してまで、来てくれて」






貴「ぅ…ごめんなさい…っ」








A熱いな…がむしゃらに走ったのか。




ほんと、むちゃくちゃだ…








郁「ありがとう…」









_______________

__________









※ 郁弥通話中







郁「はい、はい…すみません、必ず連れて戻ります。


わかりました…ありがとうございます。それじゃあ失礼します」







Aのスマホから病院に電話が来て、出たはいいけどあたふたしているせいで会話ができない。

代わりに僕が出た。





当のAはベンチで落ち込んでいた。てか沈んでる









郁「許可取れたよ。終わったら必ず戻ってくださいってさ。

それから退院は明日にするって。再検査するから」







貴「…そっか」







郁「本当なら今すぐに病院戻らなきゃいけないけど…





良かったね、病院の先生が優しい方で?(^言^」:#ffffff:#000000)







貴「Σぅ」








僕今すんごい顔してんだろうなぁ。









自販機で買ったミネラルウォーターをAに渡して立ち上がらせる。







郁「ほら、行くよ。僕は寺島達のところ戻らなきゃいけないから」





貴「ぁ、うん」






郁「真琴と貴澄もいると思うから、A今日は一般客の方行きなよ」





貴「そうする」








とりあえず貴澄に連絡してAを送ることにした。






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作者名:黒なっち | 作成日時:2021年8月9日 19時

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