__鶴姫__2【ツルネ】

55射＊県大会予選 ページ9

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大会当日



私は袴を着て夜多の森弓道場に立っていた。





貴「ふぅ〜…はあ」







‘‘ピィー”




貴「！フウ！」




フウが飛んできた。


私は思わずフウが腕に止まった瞬間、自分からフウの柔らかな羽毛に擦り寄った。







滝「何してんだよ (笑」

貴「！べ、別に！」







滝「そうか。…A、準備できたか？」


貴「うんっ」



滝「じゃあ行くか」



貴「うん。……行ってくるね、フウ」






フウを飛ばして私は兄さんと弓道場を後にした。







現地に全員集合。







貴「！……(乃愛？)」




気のせいか…乃愛の顔色が変だ。





森岡「おはよう、諸君」



「「「おはようございますっ」」」




森岡「いい挨拶じゃ。たっぷり気合いが入っているようじゃな」



「「「はい！」」」




森岡「その息合いはよしっ。じゃがの、試合だからと競いすぎてはいかんぞ。

試合で引く弓も、練習で引く弓も、何も変わらんからの。だから今日もいつものように一射一射、丁寧に。


わしからはそれだけじゃ」




滝「とは言え、風舞高校弓道部 初の公式試合だ。
競うなというのも無理だろうけど、リラックスするように心がけろ。


試合慣れしている者はまだマシだろうが、初試合の白菊と花沢は特に…




顔色が悪いな？大丈夫か？」






兄さんも乃愛の顔色に気づいた。





白菊「少し緊張しているだけです…」



滝「ならいいが…無理はするなよ？」


白菊「はい」


貴「……」





滝「いいか。試合の空気は独特だ。これには慣れるしかない。基本的に場の空気には必ずのまれると思った方がいい。

そうなったら抵抗せず、流されてしまえ。
溺れそうになったとき慌ててもがくともっとヤバくなる。


慌てずいったん流されて周りを見れば、息継ぎをする余裕もできるからな」





「「「はい！」」」




森岡「では、わしと滝川くんは運営との打ち合わせがあるから先に行くが、開会式には遅れぬように。


ミッション開始じゃ！」





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