__鶴姫__2【ツルネ】

52射＊場所を譲れ ページ6

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桐先の顧問は県大会予選に出場するメンバーの選抜試合を土曜日に行うと知らせる。


千一と万次は選考基準と一年でも参加可能かを質問した。

顧問は無論だと返し、部員全員に男女ともに10射、それぞれの上位7名を補欠含めた団体戦の選手とすると決め、学年や経験は問わず、実力のある者を選ぶらしい。


弱い選手、下手な選手は試合には出さんと厳しく言い放つ。









佐瀬「(こういう選手の決め方をするから、鶴姫は桐先に来なかったのかね…？)」









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愁は裏で一人ゼリー飲料を飲んでいたら、菅原兄弟が隣に来た。





万「おっつー藤原、ここいい？」

千「一年は俺たちと藤原だけだったね」

万「皆中。本村部長はさすがに皆中だったけど…」

千「他はあんましだったなぁ」

万「せっかく桐先きたのになぁ。なんかがっかり」


千「なあ。俺たち藤原の弓は認めてるんだぁ」

万「あ。そういえばあいつ、いなくなってんだな？」

千「去年の県大会で自滅した奴」







千一がそう言うと、愁は湊の背中を思い出す。

ひとりで立つ湊の姿を。





万「目の前でどんどん早気になってくの初めて見た」


千「まあ、いなくなって当然か」

万「だな」



千「あーでも、鶴姫がいないのが残念だよなぁ。
確か顧問の誘いをばっさり断って姿消して別の高校に行ったって」

万「もったいないなぁ。てか度胸あるよね」






愁「そういう態度はわざと？」





愁はようやく口を開いた。






千「どういう意味？」


愁「わざと憎まれ口を聞いてるのかなと思って」



千「俺たちね、弓道は敵がいないとこが好きなんだ」

万「中ればよし。勝つも負けるも自分の技量次第」



愁「そう言いながら、やっぱり故意に敵を作っているようにしか見えない」




千「強くて上手い奴が好きなだけ」

万「そうそう。元旦」







椛島「ちょっといいかな」




愁「どうぞ。えっと…」



椛島「2年の椛島だ」




椛島と湯島が愁たちの前に来る。






愁「どうぞ、椛島先輩。そちらも…」





椛島「お前ら後輩は遠慮というものを知るべきだ」






椛島は腕を組みながら言う。





愁「場所を譲れという意味ですか？」

椛島「そうだ」




この場所に座ると思った愁は立ち上がろうとしたが、椛島はそうじゃないと言う。


座る場所という意味ではなかった。






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