__鶴姫__2【ツルネ】

93射＊西園寺先生 ページ47

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部活の時間はいつも通りの雰囲気だった。




けど、湊だけが様子が違った。






射場に入る前に湊に聞いてみた。






貴「どうかしたの？兄さんのこと気にしてるみたいだけど」


湊「え、いや…なんでも」


貴「なくはないでしょ」





うぐっと湊は難しそうにする。






貴「…聞かないよ」


湊「え？」



貴「何かあるなら、静弥に相談しなよ。私より静弥の方が聞きやすいと思うよ。

溜め込んでたらいいことないよ〜」





湊「溜め込むって…」


貴「ははっ、ごめんごめんww」





言うだけ言って私は湊から離れて射場に入った。






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ある日のこと、あの人から連絡が来た。




今私はその人の家の前にいた。









？「いらっしゃい」








貴「ご無沙汰しております。





…西園寺先生」








出迎えてくれたのは着物姿のご老人。





西園寺先生。

祖父とは同じ時に弓を引いていた。







西「お上がりなさいな」

貴「はい。お邪魔いたします」






和風を感じるこの家。
昔ここで弓を引かせてもらったことがある。


何故かここにいると落ち着く。






客間まで通され、お茶を入れてくださった。






西「実は先ほど、滝川くんとその弟子がここにいらしたのよ？」




貴「！兄さんからは出かけると聞いていましたが、西園寺先生のところに行くとは聞いていませんでした。

……弟子というのは、ひょっとして「鳴宮湊」という名前でしょうか？」





西「ええ」






聞けば湊は藤原くんと一緒にここで弓を教わっていたそうだ。


その時の湊は一人で道場に飛び込んで「弓を教えろ」と言ったらしい。







貴「それで、兄とはどういうお話を…」



西「八坂くんのことよ」



貴「祖父…？」




西「ええ。滝川くんと八坂くんは絶縁状態だと聞きました。八坂くんは滝川くんのことを憎んでいたと言っていたけれど…」




貴「！」





憎んで、いた…







西「私は八坂くんとは10年くらい没交渉で、大曾根くんから八坂くんの本音を話していたことを彼に伝えました」





貴「大曾根…大曾根先生？


祖父の本音を大曾根先生に…そういえばこの時期くらいに祖父は大曾根先生のところに行くと言っていました」





西「大曾根くんの神事を手伝いに行っていたのよ。

八坂くんは私の前では本音は言わないけど、大曾根くんには本音を話していたの。

きっと、その時ね……」




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