__鶴姫__2【ツルネ】

69射＊手に馴染んだもの ページ23

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私は中崎さんを湊たちがいる場所まで案内した。




どうやら中崎さんは遼平の弦が気になっているみたいだ。









中崎「おい！切れたの昨日のやつか？」


遼「中崎さん？」





静「弓具店の…」

七「ああ！」






湊「A…？」







中崎「さっきの失…昨日お前さんには弦を売ったばかりだったし、気になってな…」








売ったばかり……？







遼「違うんです」


中崎「？」






貴「……遼平、もしかして古い方を使ったの？」





遼「ぁ、うん。……今朝まで替えるつもり満々だったんですけど

…いざ本番前になったら何か怖くなっちゃって…

新しいのより、手に馴染んだ古い方が中るような気がして…それで俺…」





貴「……」






わかるなぁ…遼平の気持ち。







中崎「わかった。なるほどな、そんなことか。でもうちの商品、もっと信用してくれてもいいんだぞ。

どれ、よかったらちょっと見してみろ？」







遼平は中崎さんの前まで行き、正座して頭を下げはじめた。





遼「すみませんでした！」

中崎「おいおい！ちとオーバーだよ！」







貴「遼平」

遼「は、はい！」





私は遼平の前にしゃがんだ。







貴「私も失、したことあるよ」


遼「え！？」





貴「遼平の気持ちわかるよ。私も手に馴染んだ古い方が良いと何度も思った。…初めて失したとき、遼平と同じ、中崎さんの店で買った弦を替えなかった」



遼「Aも…」





貴「いいんだよ、失しても。それでも遼平は今日頑張ったんだから」




遼「〜っっA〜…(泣」

貴「なんで泣くのよ」





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