Vox sonitus【イナアレ・野坂悠馬】 (ページ10)

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8☆手話の本ページ10

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野坂side

野「_____サッカー部の『西蔭政也』。GKだよ」

貴「……(ペコッ」

西蔭「…どうも」

野「じゃあ、帰ろうか」

一緒に歩き、今日の試合の結果など話した。

その時の彼女の表情はなんだか楽しそうだった。

野「……」

貴「…？」

野「なんでもないよ。……あ」

歩いていたら書店を見つけた。

野「……ごめん西蔭、篠谷さんとここで待っててくれ。すぐ戻る」

西蔭「わかりました」

野「西蔭と一緒に待ってて？」

貴「……(コクッ」

2人を置いて、僕は書店に入った。

探してるものは漫画や小説などではなく

まあ…辞典みたいなものかな。

野「……あった」

目的の本を見つけた。

手話の本だ。

何冊かあり、僕はそれを手に取ってレジに持って行く。会計を済ませて袋に入った本を持って店を出た。

西蔭「野坂さん、何を買ったんですか？」

野「これ」

西蔭「…手話？」

野「そう」

貴「？」

野「帰ろう」

2人に何も説明せずに僕は歩き出した。

西蔭には手話の本を買ったと伝えたけど、彼女は僕が何を買ったのかはわからない。

西蔭は何のために買ったのかは、もうわかるだろう。

その夜、僕は自分の部屋に戻ってさっそく買った本を机の上に広げて読む。

ノートも出して書き込んだりもする。
ときどきネットで調べたり動画を見たりする。

手話の本を買った理由はわからない。

篠谷さんのため？

でもなぜか、僕は彼女ともっと話したくなった。

だから買ったのかもしれない。

どうしてこんなに彼女のことを考えるのかは、僕にはわからない。

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______《わからないフリをしているかもしれない》

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