37☆崖っぷち ページ39
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西蔭「灰崎はチームメイトと連携できるエースストライカーになりましたね」
野「確かにそうだね。でも今日の彼は……」
新必殺技『パーフェクトペンギン』が炸裂し、星章学園のリードは2点に広がった。
崖っぷちに立つ雷門イレブンは、この1点差でさらに追いつめられた。
さらに雷門はまだ一回もボールに触っていない。
貴「……っ」
西蔭「雷門はここまでのようですね」
野「ふふ……そうかな。星章の計算が間違っていなければいいのだけど……」
灰崎くんはその後も手を緩めず、雷門イレブンに襲いかかった。絶望を植えつけるために。
観客たちは、一瞬たりともよそ見するまいと、灰崎くんのプレイに視線を合わせた。
ゴールに向かってボールを蹴る灰崎くん。しかし稲森くんが強烈なシュートをブロックした。
稲森くんは腰から地面に叩きつけられ、ボールは勢いをなくして雷門のGKにの胸に収まった。
自分を犠牲にしてでも、チームのゴールを守る。
勇気あるプレイで、稲森くんがピンチを救った。
その後も雷門にとって苦しい展開は変わらなかった。しかし稲森くんはワンプレイごとに、全力で、体を張って相手とバトルした。
スライディング、ヘディング、倒されながらのクリア……華麗なテクニックには程遠い。
しかし稲森くんの姿は、見る者の胸を打ち、チームメイトの魂に響いた。
全身汗まみれ、土まみれ。
立ち上がった稲森くんが笑顔で親指を立てた。
灰崎くんは苛立ちを隠せないようだ。
そこで前半終了のホイッスルが鳴った。
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作者名：黒なっち | 作成日時：2019年4月2日 23時
