Vox sonitus【イナアレ・野坂悠馬】 (ページ34)

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32☆弱い人間の目ページ34

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野坂と西蔭、そしてAは星章学園の試合を見るため、スタジアムへやってきた。

野「あっちの席が空いているみたいだね」

そこで灰色の少年が野坂の声に反応し、睨みつけた。灰崎だった。その場に一緒にいた明日人も振り返った。

灰「野坂……！」

稲森「野坂くん？王帝月ノ宮の……

あれ…あれ篠谷さんじゃ…！」

野坂と西蔭は二人の視線に気づかず通り過ぎようとした。

西蔭「ところで竹見の件ですが……彼はもう限界のようですね」

野「そのようだね。彼の目には感情が表れすぎていた。

あれは弱い人間の目だ」

そう言う野坂の目は冷たいガラス玉のようで、感情がまるで感じられない。

野「でもいいさ、代わりはいくらでもいるからね」

二人の会話にAは聞こえない。

ノイズがかかったようにしか聞こえない。

唯一わかるのは、野坂の瞳は冷たいということ。

偶然聞いてしまった灰崎が急に詰め寄った。

灰「まてよ、てめぇ！今なんて言いやがった……？」

野坂は足を止めた。

野「……灰崎くんじゃないか」

西蔭は一触即発の雰囲気を察して、ボディーガードのように野坂とAを隠した。

稲森「灰崎…？」

明日人は戸惑う。
野坂はそっと西蔭を押しのけて言った。

野「彼は僕に話があるようだ」

西蔭「野坂さん……」

野「大丈夫だよ。…Aちゃんはじっとしてて？」

貴「…？」

灰崎は野坂をさらにきつく睨んだ。

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