30☆強くなるチーム ページ32
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残り5分。
スタジアムの大型ビジョンには「雷門２-３帝国学園」と表示されている。
もしこのまま試合が終われば、雷門は予選2敗目。フットボールフロンティア本戦進出は厳しくなる。
西蔭「一方的な試合になってきましたね」
野「ふふ、どうかな。まだ雷門にはカードが残っているように見えるけど……。
あの監督の顔。あれはまだ、なんか企んでいる顔だ」
西蔭はベンチを探るように見た。
趙監督の顔をのぞきたかったが、表情まではわからない。西蔭はフィールドに視線を戻した。
その後、雷門は帝国学園のインペリアルサイクルを破るため、サッカー盤ごっこというのを始めた。
帝国のタクティクス『インペリアルサイクル』はいわば高速散開攻撃。この動きに『最小限の体力』で対応できるようになった。
雷門イレブンは守備では深追いせず、攻撃ではボールを持ちすぎず、効率よくプレイした。味方の位置は見なくてもわかるので、判断のスピードでも帝国学園を上回る。
駆け引きの先手と後手は、完全に入れ替わっていた。
そして小僧丸がファイヤートルネードを決め同点となった。
試合は続行されたが、帝国学園のスピードが速くなっていた。
あのスパイクのせいだろう、と小僧丸が佐久間と不動に「そんなことまでして勝ちたいのかよ。ったく、卑怯なやつらだぜ」と言われ、佐久間と不動の心がざわついた。
そのせいか帝国の動きが鈍くなっていた。
そしてついに帝国は影山に背きはじめ、改造されたスパイクではなく、自分達の力で戦うことを決めた。
そして同時に湿川を下げ、源田がフィールドに出てきた。
それもあの趙監督は対策済みのよう。
雷門の新しい必殺技『北極グマ2号』で点を決め雷門は勝利した。
野「そういえば、帝国に敗れたチームは調子を崩すって話だけど……」
西蔭「チームの持ち味を殺す戦法によってスランプを産んでいる……でしたね」
野「ああ……。でもその話には続きがあるんだ」
西蔭「え？」
野「帝国と戦ったチームはスランプの後、大幅に勝率を上げる、っていうのは知ってるかな？」
西蔭「どういうことですか？」
野「強くなるんだよ……。帝国と戦ったチームは……」
野坂が遠い目をする。
灰色の雲は散っていき、空に明るい日差しが差し込んでいた。
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作者名：黒なっち | 作成日時：2019年4月2日 23時
