Vox sonitus【イナアレ・野坂悠馬】 (ページ31)

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29☆冷酷な風丸ページ31

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貴「……」

野「どうしたのAちゃん？

あ、帝国学園が履いているスパイクが気に入らない？」

貴「……(コクッ」

Aは談筆用ノートを野坂に見せた。

貴『あのスパイクを履くことで雷門のスタミナを奪わせる。勝つためとはいえ、まどろっこしいことをするのがする。

さらに影山零治の狙いはそれだけじゃない。

前半と後半で『リズム』を変えることが狙い』

野「ふふ……。もし、ピッチャーが投げたスローボールがミッドに入る直前に剛速球に変化したらどうなると思う？」

西蔭「スピードの変化についていけず…なるほど……」

帝国学園の選手たちは前半と見違えるような動きで、跳ねるようにフィールドを走り回っていた。

ただでさえ雷門はスタミナを奪われ、あまり動けないのに帝国学園がスピードを上げてきたらこれについつくことは不可能ということだ。

風丸「この試合……勝つのは帝国だ」

肩で息をする黄色いユニフォーム。

かつて自分が所属したチームの姿を、風丸は冷酷な眼差しで見つめた。

帝国学園は新タクティクス『インペリアルサイクル』を発動させた。

必殺的なチーム戦術だ。

ボールを持った明日人はなすすべなくボールを奪われた。

帝国学園イレブンは高速パスをつないで一気にゴール前へ。そのスピードは、のりかに構える時間すら与えなかった。

佐久間の逆転ゴールがネットに突き刺さる。
明日人は目の前で起きたことを信じられず、ただ立ち尽くした。

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