25☆プリザードフラワー ページ27
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30分ほど彼女達は会話したり手話をした。
茜「そろそろ野坂くんを待たせちゃうね」
貴「…(コクッ」
茜「ありがとう。Aちゃん手話の教え方うまいね。また教えてね！」
貴「う、ん…」
Aは椅子から立ち上がった。
すると茜はAの袖をクイクイッと引っ張る。
貴「？」
茜『私とこうして話したこと、野坂くん以外誰にも言わないで』
貴「？…ぇ」
茜『話せない理由があるの。どうしても』
貴「……わか…た」
茜「ありがとう、Aちゃん」
またね、と茜はAが教えた手話をした。
Aもまた、と返して病室を出ていった。
野坂が待っているであろうロビーに向かえば、ソファに座ってスマホをいじる野坂が目に入った。
側に歩み寄れば野坂はすぐAが来たことに気がついた。
野「もういいのかい？」
貴「……(コクッ」
野「じゃあ、帰ろうか」
野坂とAは病院を出た。
帰路についた二人。
会話はないが、急に野坂は立ち止まった。
野「そうだ、忘れるところだった」
野坂は片手に持っていた紙袋をAに差し出した。
貴「？」
野「あげる。花屋のお礼と昨日のお詫び」
紙袋を受け取ったAは首をかしげた。
貴《昨日？》
野「昨日、なくしたライセンスカードで冷たく言っちゃったから…そのお詫びだよ」
貴《私は気にしてないよ？》
野「僕が気にする。……開けてみて？」
Aは紙袋の中を覗き込み、中から取り出した。
中からドーム型ケースに閉じ込められた薔薇
野「プリザーブドフラワーだよ」
白い薔薇とピンク色の薔薇。
そして白い薔薇のつぼみなどがあった。
野「プリザーブドフラワーって「ずっと美しい魔法のお花」って呼ばれてるらしい」
貴「……ず…っと」
特殊液の中に沈めて、水分を抜いた素材。
けどそれは永遠ではない。
5年から10年くらいしか保たない。
魔法はいずれ時間になってしまえばとけてしまう。
貴「ぁ、りが…と、う」
プリザーブドフラワーを持ったAは嬉しく微笑む。
その笑顔を見た野坂はいったい何を思ったか_____
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_____よかった…僕も君を笑顔にさせることができて
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作者名：黒なっち | 作成日時：2019年4月2日 23時
