Vox sonitus【イナアレ・野坂悠馬】 (ページ15)

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13☆小さな傷ページ15

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それから試合は美濃道三が攻めてきた時、雷門の5番くんが必殺技を出し一点をとることができた。

その後に続いて7番くんが氷の必殺技を放ち雷門の勝利となった。

野「あの監督は何者なんだろう」

西蔭「過去のサッカーの記録に、あの者の記述はありません」

野「じゃあ、これから名を残す事になるのか」

西蔭「しかし野坂さん貴方がそれを気にする必要はないでしょう」

野「……」

西蔭「誰であろうと、戦術の皇帝と呼ばれる貴方の前にはなすすべなく崩れ落ちることになる」

野「…ああ」

貴「…？の、さか…くん？」

野「ん？ああ……なんでもないよ。帰ろうか」

西蔭「はい」

観客席から立ち上がり、僕たちはスタジアムを後にした。

実は試合観戦をしながらAちゃんの様子を見ていたけど、彼女は雷門が攻められたらしょんぼりしたような表情や、雷門を心配するような表情を見せていた。

試合に雷門が勝利すれば嬉しそうな表情を浮かべる。

もしかして、なんだけど…

_____雷門が恋しくなってきているんじゃないか…？

と、僕は考えた。

いったい何が理由で雷門中を出ていったのだろうか。

野「……(あれ…？)」

よく見るとAちゃんの右耳朶に小さな傷がチラッと見えた。

どこかでぶつけたのだろうか？

それとも…耳あな型の補聴器でもつけていたら傷ついただけ？

このどちらかだろう…

野「_____西蔭、ちょっと頼みがある」

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