__鶴姫__【ツルネ】

30射＊恥もプライドも捨てて ページ32

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最近、毎日道場が早朝に掃除されている。
榊の水も変えられている。


もしや、と思い見に行ってみたら、道場に湊と静弥の姿があった。





私は中に入らず隠れて二人の会話を聞いていた。


そしたら遼平たちも来た。海斗もだ。


同じく隠れて会話を聞く。





やはり毎朝早く道場を掃除してくれたり、榊の水も変えていたのは湊だった。


早気の対策のために。






静「ねえ、湊。なんで戻ってきたんだい？

僕には聞く権利はあると思うよ？」



湊「静弥には話したことあるよな…俺が弓を始めるきっかけになった弦音のこと。

でも早気になって満足の射ができなくなったとき、あの弦音は呪いになった。逃れたいと思った…
実際に逃げてもみた…でも結局逃げきれなかった。

そんな時、また出会えたんだ。

あの時以上に、俺の心に突き刺さる弦音に」






きっと…兄さんのことだ。






湊「そして気付かされた。



俺は弓が本当にどうしようもなく好きだってことに。だから、恥もプライドも全部投げ捨てて戻ることにしたんだ。




この場所に」








静「…今の、小野木に言えばきっと揉めたりしなかったよ」


湊「できたら苦労しないよ？」




静「プライドは投げ捨てたんじゃなかったの？




おかえり、湊」




湊「ただいま、静弥」





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