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泣く子も黙るような形相で宙を睨みつけながら酒の入ったグラスをギリギリと握りしめている伊黒。
そこにイマジナリー冨岡がいんだな、なるほど。
「とにかく、ンなことになったら正気じゃ居られねぇんだろ?したら、お前が娶るしかねェよなァ?」
「そんなことを言われても、俺はあいつの前になると勝手に口から罵詈雑言が飛び出す呪いにかかっている。そのせいで、既に俺は取り返しのつかないほどAに嫌われているんだ。今更どうしろと」
「なんだその呪いは」
しかし、あまりに落ち込んでいるものだから、少し可哀想になってきてしまう。
「どうすっかなァ……」
我妻Aってやつは、隙しかないように見えて実は1ミリも入る隙がない女だ。
周りの男に愛想振りまくくせして、気がつけばことある事に小芭内小芭内。
伊黒しか見えてねぇことなんて誰から見ても丸わかりだ。
それが返って仇となって肝心の本人には本当の気持ちが伝わっていない。そして伝わる兆しも見えない。
それは伊黒が他人からの好意に鈍いからってのもあると思うが、
やっぱり昔からあれじゃ、な。
アイツからの好き好きオーラが日常の中に溶け込みすぎて最早見えないんだろう。
一言で言えば、前途多難。
そう、時には凡庸な毎日に水を差すことだって必要なのだ。
「冨岡ァ、お前、当て馬になれ」
「……馬か」
絶対わかってないなコイツ。
数秒間考える素振りを見せたあとで、冨岡は真顔のまま言った。
「ひひーん」
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和加 - 声出して笑ってしまうんですが。面白すぎです笑 (2021年2月3日 6時) (レス) id: 263e001d98 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです!! (2020年12月25日 15時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
モブちゃん - キャァァァァァァ!キュンキュンするわ!伊黒さん、お幸せに! (2020年12月25日 7時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みゆきだいふく(プロフ) - 深紅さん» すみません爆笑しましたwwwwwww (2020年12月23日 21時) (レス) id: a48323ed49 (このIDを非表示/違反報告)
深紅(プロフ) - 私の中でLove so sweetが流れた (2020年12月23日 20時) (レス) id: 1de38023e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆきだいふく | 作成日時:2020年12月2日 1時