私と〇〇できないくせに！【伊黒小芭内】

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私は今日、多分人生で1番低い声が出た。




「え"」




……まって、まってまって。

なんでこいつの顔が目の前にあんの。寝起き早々頭がショートしそうになって慌てて再起動する。


そう、こいつ、というのは幼なじみの伊黒小芭内。

小中が同じで高校でやっと離れたと思ったら大学で再会してさらには職場も一緒って、もはや腐れ縁超えて燃えて無くなれ縁なんだが？いやそれはそれでなんか間違ってる気がするけど。

……っていうか、今まで気にしたこと無かったけど、綺麗な顔してるよなぁ。

まつげ長いし、口小さいし、鼻筋通ってるし、眉毛も控えめで可愛い……こう見たら小芭内って実はすごいイケメンなんだよね。いや、もちろん黙ってればの話だけど。

え、冷静に考えてこんなにかっこいいのになんでいつもマスクしてんの？あ、それはコロナか。



それより私は何を考えてるんだ。



いけないいけない、と体を起こそうとして思わず「うぅ」と唸った。倦怠感がすごい。あとなんか腰が痛い。



ん？腰が？痛い……？





「ぇぇぇえええええええ！！あああまって、ううう嘘すぎじゃない！？」




控えめに言って爆音だった。




「なんだ……うるさいな……」




え、待って待って起きないで？
てか私今服きてる！？大丈夫！？

布団をがばっと捲った。それが悪かった。




「ぎゃーーーー！！！！！」

「騒がしいな……誰だお前こんな朝から…って……」




なにも身につけていない上半身を起こした小芭内が一気に青ざめていく。

そりゃそうだ。
だってわたしも、小芭内と同じように何も着ていなかったのだから。

次に小芭内が発した言葉は、たったの4文字だった。




「死にたい」




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