28話 ページ2
それはそうと私が尸魂界に帰ってきた時は皆声をかけてくれたのだが一際異質だったのが十二番隊の涅隊長だったな。
刀の付喪神と死神の融合がとても興味深かったらしく、『中々調べる価値がありそうだネ』と危うく実験台にされる所だった。
その場にギン隊長がいなければ私はどうなっていたことか。
普段から隊長には感謝しきれない程の恩があるが今においてはそうも言ってられない。
私は隊首室からとても離れた空き部屋の扉を勢いよく開ける。
夢「ちょっとギン隊長！！またサボって干し柿食べて！！これ以上イヅルくんの負担増やしてどうするんですか！！」
そこには手に干し柿を持ってとても驚いているギン隊長の姿。
ギ「な…なんでここが分かったんや…」
夢「そう何度も何度も逃げられたらギン隊長がサボりに行くところの目星くらいつきますよ！！さぁ今日は逃がしませんからね！！お仕事して下さい！！」
私は手に重要書類を持ちながらジリジリと近寄る。
ギ「いややー！ボクお仕事なんて好かんのー！」
ギン隊長はそんな私から逃げようとジリジリと遠のく。
夢「それは知ってますけど！！隊長が処理しなきゃいけない書類が溜まってるんです！！ほら！！」
ギ「いーやーやー！そんなんイヅルがやったらええやろ！！隊長の印渡すさかい！！！」
夢「ダメに決まってるでしょう！！なんのための隊長印ですか！！！」
ギャーギャー言い合っているとギン隊長がいきなりしゃがんだ。
ギ「…あんなぁA、ボク今足痛おして歩けへんさかい動くのんは無理なんや…」
そしてしゅん…とした顔で私を見てくる。
きっと目がうるうるっとしているんだろう。
この人糸目すぎて分からないけど。
夢「そうですか…歩けないんですね…」
ギ「そうなんや…そやさかい今お仕事は出来ひんの…」
夢「じゃあ首根っこ掴んで引きずります」
まぁどうせ嘘なので容赦はしない。
というかギン隊長程の人が日常生活で足を痛くするわけがない。
ギ「いやいや！治った！もう治ったさかい！そやさかい引きずるのんはやめて…」
夢「そうですかーじゃあはい立ってー歩きましょうねー」
私はそう言いながらギン隊長を立たせ、右手をしっかりと握る。
ギ「…なんでボクの手ぇ掴むの？」
夢「逃げ防止に決まってるじゃないですか。さぁ行きますよ」
さーいざお仕事お仕事ー。
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作者名：緑宮 瑠理 | 作成日時：2020年9月6日 9時
