『実.況.者』もう一度貴方に。『ky』 (ページ13)

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11話ページ13

私はふとカード達を写すように向けられたカメラが気になった。

夢「カメラ？何か写真でも撮ってたんですか？」

牛「いや、あれで実況撮ってたんだよ。ほらレトルトの妹なんだったら兄ちゃんの実況くらい見た事あんだろ？」

…え？

どういう、こと？

レト兄が実況者？

夢「いや、見た事ないです…というかレト兄が実況者だって事も知らなかったです。…レト兄実況者だったの？」

レ「えっとその…ごめん。黙ってて。騙すつもりはなかったんやけど…ごめんな？」

私に向かって謝るレト兄の横で牛沢さんは『もしかしてなんかしくじったか俺』と言いたげな顔でそわそわしていた。

他の人達も少し不安げな表情をしている。

夢「いや全然怒ってないよ？ただ想像もしてなかったから少し驚いただけ」

レ「ならよかったわ…これで嫌われたらどないしよう思ってた」

夢「いやいやそんなので嫌ったりなんてしないから！」

レ「ありがとー！Aー！」

そう言いながら私に抱きついてくる。

ほんとにこの兄は…

夢「はいはいよしよし」

私は抱きつかれたままレト兄の頭を撫でる。

…ん？

なんとなく既視感がある。

あ、思い出した。

前世で拓也によくやっていたんだっけ。

あの頃の拓也は不安になりやすかったのかよく私に抱きついてきていた。

─A！俺がずっとそばにいてやるから！だから、だから…─

─安心してよ拓也。私はそう簡単に死んだりなんてしないからさ！─

こんな会話をした数ヶ月後に私は死んでしまった。

約束守れなかったな。

ごめんね。

彼は目の前にいるのにたった一言でさえ伝えられない。

少し悔しくもある。

夢「レト兄そろそろ離れてー苦しいー」

レ「えー？」

今まで和やかだった空気が次の瞬間凍った気がした。