温もり ページ22
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「笑うなって」
またトン、と体をぶつけてくるミンソク。
「もーっ体当たりやめて。コーヒー溢れるじゃん」
「体当たりじゃない。八つ当たりです」
「ぶ、自分で言う？」
でも腹が立つよりも可笑しいのは、
私も今日は機嫌が良いんだと思う。
全てはこの美味しいコーヒーのお陰だろう。
「人の不幸を笑うAサンや」
「んふ、何？」
顔を傾けて、横から覗かれる。
「せっかく切ったならおろせばいいのに」
ツン、と髪の毛を結んでるゴムを指で突かれる。
「……」
「おーい？」
つんつんされた状態のまま、横目でミンソクを見る。
だって。
「切ったのよく分かったね…」
ヨンスは、
「ん？旦那は気付かなかったのに、って？」
う…
「また、そうやって…」
「どんまい」
睨む私に、今度は頭に手を乗せる。
これか。気持ちのこもってない“どんまい”は。
くそー
「A」
「なになになにっ」
今度はなに！
「残業してくれてありがとな。助かった」
ポンポンとリズムよく私の頭を叩きながら、
膨れっ面の私とは対照的に、ご機嫌にゆっくり口元を緩ませる。
……なんなんだ。
「今日は意地悪くないんですけど…」
「別にいつも意地悪してねえしー」
「意地悪だし。なのに今日はやけに優しい」
「そ？でもほら、たまの優しさはグッとくるだろ？」
「はぁ？！」
なによそれっ、
「なんかA、最近優しさに飢えてそうだし？」
〜〜っ！
片方だけ唇をクイっと上げるミンソクは、完全にいつものミンソクだ。
「やっぱり意地悪だし偉そうだし性格悪い！」
「ははっ、冗談なんだから怒んなよ」
「冗談？！」
「冗談に決まってんだろ」
いいや…ミンソクのことだ。
この男に限っては冗談なんて思えない。
「コーヒーもほんと美味かった。ありがとう」
飲み終えた空のマグを受け取るとまだ温かい。
私が優しさに飢えてるって？
冗談にしても失礼すぎる。大きなお世話だよ。
悔しい…
いや、悔しいのは、
それを冗談として笑い飛ばせなかったことの方。
情けないけど、否定できない自分がいたから。
だってミンソクの笑顔が、
『ありがとう』が、
今の私にはすごく有難いものに感じたから。
今度ゆっくり飲める時に、また淹れてあげよう。
そう思ったから…
「はぁ、」
温もりを確かめるように、
空になったマグを両手で包み込みながら。
明日は髪の毛おろして来ようかな…と考えていた。
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エリ(プロフ) - こんばんは。このお話が大好きで何回も読ませて頂いてます。しうちゃんのお部屋、公開されて真っ先に思ったのがマリアージュの部屋だ！と。しゅしゅさんまた続編書いていただけませんか？笑 ほんとに好きなんです。待ってます！ (2019年5月4日 0時) (
レス) id: 0581c9356e (このIDを非表示/違反報告)
むあ??(プロフ) - 久しぶりですこんなに泣いたり笑ったりしながらお話読んだの。本当に感動しました。キュンキュンしたし何より幸せでした。素敵な時間ありがとうございます！！ (2018年11月5日 20時) (レス) id: bff18baa55 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - ひつじさん» 寝るためだけの家なのでリビングは寛げないですが、ミンソクのベッド、最高級です…おふっ(お願い寝かせて)ぐったりですよね、二人共…。明日からどうなるやら…。引き続き読んでいただけますように…(^^) (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - yumiさん» yumiさん初めまして(^^)作品読んで下さりありがとうございます。…ひぃっ…！！ハワイアンシウミンに会ったんですか…？！しゅ、しゅげえ(拝)そうなんです、しうちゃんただ歩いてるだけなのに宇宙一かっこいいんですよね(？)引き続き、楽しんでいただけますように…！ (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 寛げないリビング…予定外の流れ弾…（笑）わかり易過ぎる位の 表現ですね。二人とも ぐったり疲れた心と体を 休めて欲しいですね。ミンソクのベッド 寝心地いいだろうなぁ…♪ (2016年9月7日 10時) (レス) id: 6fa124c712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅしゅ
| 作成日時：2016年8月30日 22時
