二度目のパニックの理由 ページ41
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ピ、ピ、ピ…ピロリロリン
静かな部屋でうーんうーんと唸っていると、玄関の施錠の解除音に続いて、ドアの閉まる上品で重厚な音が響いた。
そのままキッチンにやって来てカウンターに荷物を置いたミンソクに、しゃがみこんだ体勢のまま声を掛ける。
「おはよう」
「っうお！」
カウンター越しに合ったまん丸い目は、すぐに怪しげな目つきへと変わった。
「…おはよ。何してんだよ、そんなとこで」
「ねぇねぇ、ミンソク。質問してもよろしいでしょうか」
「…手短かに」
持ってるペットボトルの蓋を開け、水を流し込みながら言う。
「これ…この子たちどうしたの？」
「この子たちって何」と、私が指差すキャビネットの中をカウンターを乗り出して確認する。
「ああ、それか。付き合いで買った」
「なるほど。じゃあ、あの子たちは？」
今度は後ろの立派なキッチンクローゼットの少し高い所を指差す。
「あ？どいつだよ」
首に掛けたタオルで額の汗を拭きながら、面倒くさそうに言うミンソクに、
「あの子たちですよ」
そう言ってもう一度指差すと、クリアな舌打ちをかましてくれる。
「…食器って言え。あれは同じ大学だった奴に売りつけられた」
「ふむふむ」
つまり、買わされて揃えたものってことね。
そう。
私が２度目のパニックに陥った理由は、
素敵なキッチンで、きれいに収納されている調理器具と食器のせい。
調理器具は、フランスの有名な鋳物ホーローメーカーのもの。
私もずっと欲しくて、去年やっと１つ買ったんだけど…
ここには定番のラウンド型の鍋から、オーバル型、グリルパンに、パエリアを作ったら絶対美味しいだろう浅型両手フライパンまで…
いや、揃いすぎでしょ…！！
そして食器。
扉を開けたらドイツの超有名陶磁器ブランドのものがズラリ並んでいた。
白を基調としたクラシックラインの大中揃ったお皿にボウル、マグカップ…
なんてこった…それだけでもパニック…
「ったく。あっちーのに暑苦しい奴…シャワー浴びてくる」
「じゃなくて、！」
「あーもう！今度はなんだよっ」
一度背を向けてバスルームへ向かおうとしたミンソクが、髪の毛をかきあげながら振り向く。
「…なんで？なんで使ってないの？」
高級な調理器具と食器。
確かに驚きだけど、それよりも…
それら全て、ビニールで包まれたままの状態ということに。
どこからどう見ても、新品ということに。
どういうことか全く理解できない。
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エリ(プロフ) - こんばんは。このお話が大好きで何回も読ませて頂いてます。しうちゃんのお部屋、公開されて真っ先に思ったのがマリアージュの部屋だ！と。しゅしゅさんまた続編書いていただけませんか？笑 ほんとに好きなんです。待ってます！ (2019年5月4日 0時) (
レス) id: 0581c9356e (このIDを非表示/違反報告)
むあ??(プロフ) - 久しぶりですこんなに泣いたり笑ったりしながらお話読んだの。本当に感動しました。キュンキュンしたし何より幸せでした。素敵な時間ありがとうございます！！ (2018年11月5日 20時) (レス) id: bff18baa55 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - ひつじさん» 寝るためだけの家なのでリビングは寛げないですが、ミンソクのベッド、最高級です…おふっ(お願い寝かせて)ぐったりですよね、二人共…。明日からどうなるやら…。引き続き読んでいただけますように…(^^) (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - yumiさん» yumiさん初めまして(^^)作品読んで下さりありがとうございます。…ひぃっ…！！ハワイアンシウミンに会ったんですか…？！しゅ、しゅげえ(拝)そうなんです、しうちゃんただ歩いてるだけなのに宇宙一かっこいいんですよね(？)引き続き、楽しんでいただけますように…！ (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 寛げないリビング…予定外の流れ弾…（笑）わかり易過ぎる位の 表現ですね。二人とも ぐったり疲れた心と体を 休めて欲しいですね。ミンソクのベッド 寝心地いいだろうなぁ…♪ (2016年9月7日 10時) (レス) id: 6fa124c712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅしゅ
| 作成日時：2016年8月30日 22時
