執着してるのは ページ30
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「……ジョンデのやつ」
低い声に思わずチラッと目を向けると、その横顔は、あまりにも無表情で思わず息を呑んだ。
「…えと、」
「俺の両親、ずっと共働きでさ」
真っ直ぐ前を向いたまま、ゆっくり話し出すミンソク。
「それも土日も家に居ないのが当たり前な位、どっちも仕事人間で。お陰で暮らしは裕福だったけど、家族揃って食卓を囲むことすら殆どなかった」
どう返事したらいいのか分からなくて、
ただ話を聞きながら横顔を再び盗み見るものの、
やはりそこに感情は見つからない…
「たまに揃っても、仕事のストレスぶつけ合って喧嘩してて。俺を持ち出しては、また喧嘩になって…」
普段無口なミンソクが、こうやって自分の話をするのは珍しい…そう思っていると、
不意に私の方を向いて肩をすくめた。
「…ま、つまり。俺にとっては、結婚なんて馬鹿げた文化でしかないってこと」
「突然ざっくりまとめたわね」
「ぬくぬく育ったであろうAに言っても仕方ないかなと」
む、
腹立つ言い方がいちいち私を着火させる。
「どーせぬくぬく育ったわよ。うちは専業主婦のママとパパも仲良かったからね。平凡な家庭だったけど家族の思い出も沢山あるし。私もいつか両親みたいな温かい家庭を築きたいって、ずっと思ってきたし？」
「ああ、そんな感じする」
冷め切った顔が余計に腹立たせる。
恋愛に関しては冷めてるってジョンデが言ってたのは、こういう事だったんだ。
「でも、ご両親のせいにしてまともな恋愛しないのは間違ってると思うけど」
「余計なお世話だよ」
さすがにムッときたのだろう。
苛立ちが眉間に表れている。
けど、私だってこの苛立ちを抑えられない。
「結婚に夢を見てる私を馬鹿にしてるけどさ、」
余計なお世話はお互い様でしょ？
結婚を私は漠然と夢見てるけど、
ミンソクは明確に否定して拒んでる。
私以上にずっと執着してるじゃん。
「本当は、温かい家庭に憧れてるのはミンソクの方なんじゃないの？」
そのまま捲し立てると、
無表情の顔が私のことを見据えた。
暗くて狭い車内に沈黙が流れて、
やっと私も落ち着きを取り返す。
……言い過ぎた。
そう思っても時すでに遅し。
自嘲気味な短い笑いを見せたミンソクがゆっくり口を開いた。
「…例えそうであったとしても。ソレを知らない俺には無理だろ」
初めて見るミンソクのその顔は、
息苦しくなる程ぎゅぅっと私の胸を締め付けた。
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エリ(プロフ) - こんばんは。このお話が大好きで何回も読ませて頂いてます。しうちゃんのお部屋、公開されて真っ先に思ったのがマリアージュの部屋だ！と。しゅしゅさんまた続編書いていただけませんか？笑 ほんとに好きなんです。待ってます！ (2019年5月4日 0時) (
レス) id: 0581c9356e (このIDを非表示/違反報告)
むあ??(プロフ) - 久しぶりですこんなに泣いたり笑ったりしながらお話読んだの。本当に感動しました。キュンキュンしたし何より幸せでした。素敵な時間ありがとうございます！！ (2018年11月5日 20時) (レス) id: bff18baa55 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - ひつじさん» 寝るためだけの家なのでリビングは寛げないですが、ミンソクのベッド、最高級です…おふっ(お願い寝かせて)ぐったりですよね、二人共…。明日からどうなるやら…。引き続き読んでいただけますように…(^^) (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - yumiさん» yumiさん初めまして(^^)作品読んで下さりありがとうございます。…ひぃっ…！！ハワイアンシウミンに会ったんですか…？！しゅ、しゅげえ(拝)そうなんです、しうちゃんただ歩いてるだけなのに宇宙一かっこいいんですよね(？)引き続き、楽しんでいただけますように…！ (2016年9月8日 10時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 寛げないリビング…予定外の流れ弾…（笑）わかり易過ぎる位の 表現ですね。二人とも ぐったり疲れた心と体を 休めて欲しいですね。ミンソクのベッド 寝心地いいだろうなぁ…♪ (2016年9月7日 10時) (レス) id: 6fa124c712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅしゅ
| 作成日時：2016年8月30日 22時
