ねえ、お願い。【歌い手】 (ページ24)

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23話ページ24

彼らと目を合わせず、一息に言い切った私はぎゅっと目を瞑り、拳を固くした。

大丈夫だ、なにを言われたって構わない。

私は、私のやり方で。

「…ねえ」

口を開いたのは、まふくんだった。先程よりも遥かに低いその声に、柄にもなく怯えてしまう。

「あすたって、…本当…？」

「…っはい」

ああ、どんな酷いことを言われるのだろう。
これまで大きな会場で多くのライブを開催し、たくさんのファンを魅了してきた彼ら。こんな私の歌など、きっと届いていない。

なんと言われようと、私は。

しばらくその場を包んだ静寂は、私を弱らせるに十分だった。こんなに人と向き合い話すのは、相澤先生との最後の会話以来だろうか。

「…やばっ、うそ、あすちゃん…」

まふまふさんの言う、"あすちゃん"
それは紛れもなく、私の愛称だった。リスナーさんが付けてくれたもので、最近ではそれが浸透してきている。

「えっ、まふくん…？」

こんな期待をしては、期待通りにならなかった時痛い目にあうと、学んだはずなのに。

それでも、これは

.

「あすちゃん、ファンです」

抱いてもいい、"期待"だったようで。