12話 ページ13
そして皆さん、お気づきだろうか。
私達は玄関で話していたのだ。彼方さんのお家にはお客さんがいる、ということは。
「そらるさ〜ん？おかえりなさーい！お邪魔してます！」
聞こえてきたのは、随分と高めの声。男性なのだろうけど、可愛い声だなあ。
「あいつまた勝手にっ…」
彼方さんが呟いたと同時にガチャ、と開くドア。そして出てきたのは、なんというか……ホスト。
髪は明るく金に近い色をしていて、全体的に黒い。ひらひらしてる。
高身長ホストさんは私の姿をその大きな瞳に捉えるなり、さらに大きく見開いた。
「ちょっ…彼方さんもしかしてっ！」
どうやら大きな誤解をしているようだ。咄嗟に誤解を時に入ろうとすると、
「そー、俺の彼女」
なんて聞こえてきた。
「っちょ、違いますって、違います違います」
私は慌てて電車内でのことを説明した。案外彼は見かけによらず物わかりのいい方で、"そうだったんですね、すみません"と言ってくれた。
「あ、遅れました。笹井Aですっ。22です」
「あぁっ、相川真冬です。25です！」
彼方さんに言われたことを思い出し自己紹介をすると、彼もふわふわなスマイルを向けながら自己紹介してくれた。
「それにしても彼方さんが女の子連れてくるから、何事かと思いました。とりあえずあがってください！」
「おい、ここ俺んちだから。あ、Aあがって」
軽く彼方さんをディスった相川さんは、さも自分の家のように私を招き入れた。
一応彼方さんの許可を取ってから上がらせてもらう。
リビングらしき部屋は綺麗に片付けられていて、間接照明がいい雰囲気をだしている。
「わ、彼方さんって以外と女子力高いんですねっ」
思わずそんなことを漏らすと、"なんだよ、それ"と頭にチョップを入れられた。
＿＿＿＿＿
一ノ瀬 彼方 ｲﾁﾉｾ ｶﾅﾀ (28)
歌い手のそらる。
相川 真冬 ｱｲｶﾜ ﾏﾌﾕ (25)
歌い手のまふまふ。
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作者名：なえ | 作成日時：2017年9月14日 17時
