理想の恋とは程遠い（黒×緑） (ページ10)

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思わず唇を拭った

「自惚れてんじゃないよ。アンタみたいな男、私は大っ嫌い」

そう吐き捨てて、呆然とする大倉くんを置いて帰った

最低、ほんとに最低

あんなやつとキスしたとか、吐き気がする

どうせ向こうも私のこと気にくわないだろうし、大倉くんの担当は変えてもらおう

そう思ってたのに、次の日会社に行くと、ガバッて頭を下げて、

「昨日はほんまにごめんなさい！」って謝ってきた

いきなりすぎて訳が分からなくて、

「とりあえず頭上げて？ね？」

チラホラと通りすがりの人たちが見てるからさ…？

周りから変な目で見られるから早く済ませてって思ってたのに、

「あの、俺、先輩のことが好きです！」

とか、また突拍子もないことを言い出して、

「…は？」

意味が分からなかった

「冗談やめて」

「本気や！めっちゃ本気やねん！」

「私、彼氏いるから」

「別にそれでもええよ！」

「ダマレ」

何故か、大倉くんに好意を持たれた

普通逆でしょ？

完全に嫌われたと思ったのに

それからしつこく絡んできて、まあ仕事はちゃんとやってくれたからいいんだけど、

1日に何回も好きやねん！と言われ、そのうち挨拶のようにもなっていった

めんどくさいからテキトーにあしらって、程なくして研修期間終わり、大倉くんは編集部を去っていった

風の噂で、デザイン部に配属になったと聞いて、やっと穏やかな日常が戻ってきてホッとしてたのに…！