理想の恋とは程遠い（黒×緑） (ページ42)

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大倉くんは、ハッと目を見開いた

そして、ゆっくり瞬きをして、重い口を開けた

「俺のおかんは、中学の頃に俺を置いて出て行った」

大倉くんから発せられた言葉は、ひどく残酷だった

「小さい頃に親父が死んで、おかんが一生懸命育ててくれた。
やけど、限界が来たんか、ある日を境に毎晩男を連れ込むようになってん…

今まで、一緒にご飯食べとった時間も、一枚の布団で2人で寝とった時間も、笑いあってる時間も、全部男にとられた。

俺は、いらんくなってん」

いつも無邪気に笑って、

何も考えてなさそうな癖して、

実は心に傷を負っていた

「一回だけ、おかんに言ってん。

『そんなんしたら、おとんが悲しむで』

そう言ったら、おかん何て言うたと思う…？」

何も答えられなくて、黙っていたら

フッて鼻で笑った

「『女はね、恋をしていないと美しさを維持できないの』

バカみたいやろ…。

なんやねんその自分勝手すぎる理屈って、めっちゃ腹立ったけど、満面の笑みで言うおかんに、

俺は何も言い返されへんかった。

おかんにとっては、自分が美しくおるため、自分が他よりも優位だと思うために男を使っとる。

男なんて、ただの人生の小道具でしかないねん」