理想の恋とは程遠い（黒×緑） (ページ32)

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嘘

ほんとは、ホテルで何度も見た

仕事中、横山さんはめったに携帯を見ないのに、

ホテルでは行為の前と後で、必ず携帯を確認する

「わあ、そうだったんですね。
いつも主人がお世話になってます」

ズキズキと胸が痛んだ

笑って言うその姿が、私には勝ち誇っているように見えた

「あ、じゃあこれ主人に渡しておいてください！」

「え、ちょっと！」

私に無理やり携帯を持たせて、「お願いしますね」と言って、去って行った

私はただ、呆然する

横山さんの奥さんは、イメージと違った

もっと大人な女性かと思ってた

でも実際は、すごく女の子らしくて、綺麗と可愛いを兼ね揃えた人だ

忘れ物を届けるために、あんなにもお洒落をしてメイクをしたの？

まるで、私とは正反対

あの人は、横山さんに愛されてる

私がどうしても欲しいものを、持ってるんだ

私は、どんなに頑張っても2番目でしかない

誰にも言えなくて、会う約束さえできない関係

決して許されない恋

心のどこかで、横山さんは奥さんとうまくいってないって期待してた

いつか、

いつか私のもとへ来てくれる日が来るって、

ずーっと、願ってた。

ギューッて胸が締め付けられて、視界がぼやける