理想の恋とは程遠い（黒×緑） (ページ27)

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親睦会は、会社の近くの居酒屋で行われた

時間が経ってきて、お酒がだいぶ回ってきた頃、

隣に座る横山さんは、さっきからチラチラと携帯を確認している

向かいの大倉くんとアキちゃんは、楽しそうに会話している

というか、アキちゃんのボディータッチが激しい

完全にあれは大倉くんのことが好きなんだろうなって思った

「横山さん…どうかしたんですか？」

大倉くんとアキちゃんには聞こえないよう、小声で話しかけた

すると、横山さんは少し困ったような顔をして、

「実はな、最近ずっと妻の容態が悪いねん。
さっき遅くなるってメール送ったんやけど、返信来おへんねん」

ズキンと、胸が痛んだ

現実を突きつけられたみたいだ

苦しくて、なにも言うことができなくて、そしたら

「うわ～、横山さんの奥さん愛されてますねぇ！
早く帰ってあげてください！！」

いつの間に聞いてたのか、アキちゃんが言った

「すまんな、お言葉に甘えて、帰るわ。
鈴木、ごめん…」

「……いえ」

横山さんの顔を見れなくて、ずっと下を向いていた

フワッと横山さんの香りがして、一瞬で消えた

泣きそう……

けど、泣いたらダメ……