理想の恋とは程遠い（黒×緑） (ページ19)

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「えー、それでは、編集部に新しく来た大倉くんの歓迎を祝して、カンパーイ」

編集長の掛け声で、ジョッキが重なり合う

今日は、大倉くんの歓迎会

正直、すごくつまらない

奈央はどんな手を使ったのか、上手い理由を見つけていないし、

横山さんは遠くのテーブルにいて喋れそうもない

主役の大倉くんも女性社員に囲まれて嬉しそうだ

はあ～～、つまらん

私がここにいる意味がない

てか、抜け出しても絶対バレないでしょ

もう会費も集めたし、帰ろう

そう思って、自分の鞄を持って、トイレに行く振りをして外に出た。

外に出るときに、一瞬だけ横山さんを見たけど、私に気づいてくれるはずもなかった

1人寂しく、駅までの道を歩く

さっきまで騒がしい場所にいたから、余計に静かに感じる

星、綺麗だなぁ……

昔、1回だけ横山さんと仕事の上がるタイミングが同じで、一緒に帰ったことがある

緊張して、何を喋ればいいか分からなくて、戸惑っていたら

「星、綺麗やね」

って、夜空を見上げて横山さんが言った

その横顔が、儚くて、美しかった

そして、私の方を見て、微笑みかけた

その時、何故か分からないけど泣きそうだった

ああ、この人のことが好きだ

直感的にそう思った

私は、どうしようもなく横山さんのことが好きだ

好きに、なってしまった

けど、それはいけないことだった