#211【別れ】 ページ20
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俺の首が空を飛んだ。
不思議と首から下の感覚は無く、軽い。
少し視線を動かせば、他の奴らの身長より高く飛んでいる。
まるで見下ろしているみたいだ
空を飛びながら俺の首は回る。
視界には安直な顔をした“白鳩”たち。気が抜けた瞬間に襲うのが楽しくって大好きだった。安直から絶望した顔に変わる瞬間が面白かった。
重力に負けた俺の首は地面を転がる。
不思議と痛みは無かった。
俺を睨みつける姿を消していた柳下が目に入る。
お前の悲願叶ったじゃないか、笑えよ
意識はあるのに身体が動かない。なんとも歯痒いものか。
喉を斬られたんだ声は出ず、呼吸も出来ない。
明日は、コウの展覧会を観る予定だったのに
ああ、予定を狂わされて不愉快だ。
この世に未練は無い、と言ったら嘘になるがもうどうでも良くなった。ただ不安なのは俺の赫子がクインケに使われる事だ。
死んでから“白鳩”に利用されるなんてこれ以上の屈辱なんて無い。赫子がクインケに使われるならコブたちに喰われた方が何倍もマシだ。
その前に“白鳩”の奴らが俺の赫子を扱えるかどうかによるが・・・。死んだ俺にはどうする事も出来ない。
いろんな赫子を喰べ過ぎたせいで、喰べた赫子を真似する事は得意だ。ただ、困るほどではないが何も考えていなかったり、深い眠りにつくと赫子が暴走する事が多々あった。
制御する脳が身体から離れたなら必然的に赫子は暴走する。
ギョロリと俺の身体の方を見ると、俺の身体を取り囲んでいる“白鳩”たちは暴発した赫子が刺さっていた。
羽赫と鱗赫を持っていないので喰っても出せないけど、甲赫が飛び出したり尾赫がザラついたりしているのが視界に入る。
ざまあみろ
独りであの世に逝くなんて淋しいだろ。
顔も名前も知らねェてめえ等も道連れだ。
表情筋はまだ動くようで口角が痛いほど上がった。視界の端に入る柳下の顔は、俺の大好きな表情だった。
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時